NCT・ドヨンが豊かな表現力を発揮...親友への切ない片思いを体現した「私を愛さないXに」

2024.6.22(土)

4月に自身初となる1stソロアルバム「YOUTH」をリリースし、6月24日(月)～26日(水)に開催される初の単独日本公演「2024 DOYOUNG CONCERT [ Dear Youth, ] in JAPAN」への期待も高まっているNCTのDOYOUNG(ドヨン)。

NCTとは趣を変えたバンドサウンドも好評で、ソロミュージシャンとしての新たな魅力を創出した彼は、俳優業にも積極的に参加。OSTにも参加した主演ドラマ「私を愛さないXに」(2022年)では、親友のヒロインに想いを寄せる大学生を好演し、注目を集めた。

「私を愛さないXに」は、恋愛経験のない地味なヒロインと、そんな彼女に思いを寄せる幼なじみの恋と成長を描く青春ラブロマンス。

作詞家志望の女子学生ソ・ヒス(ハン・ジヒョ)は、ある日、実家で偶然、自分の名前が書かれたノートを偶然手にする。そのノートには、相手のことを考えながら詞を書くと"1ヶ月間だけ自分のことを愛させることができる"という不思議な力があり、その"魔法の作詞ノート"によってヒスは期間限定の恋愛を繰り返すことに。一方、幼なじみで親友のチョン・シホ(ドヨン)は、そんなヒスの恋模様をもどかしい想いを抱えながら見守っていた。

ヒロインのヒスを演じるのは、「酒飲みな都会の女たち」(2021年)などに出演してきた注目女優ハン・ジヒョ。ノートの魔法が解ければ相手の愛も消え去り、心に残るのは虚しさだけ。それでも、自己肯定感の乏しい彼女は、満ち足りない思いをほんのひと時の間忘れるためノートの力にすがってしまう。そんなふうに恋愛の傷をまた新たな恋愛で埋めていくヒロインの孤独を、共感度たっぷりに表現している。

そして、そんなヒスを近くで見守り続けるのが、ドヨン演じるシホ。ヒスとは、高校生の時にシホが転校してきてからの親友同士。講義の席取りをしてあげたり、ランチを一緒に食べたりと、内心ではヒスに思いを寄せながらその思いはおくびにも出さず、ひたすらヒスの幸せを願い、彼女を支える切ない役どころだ。

いじめに遭っていた過去があるシホは、そのトラウマから今もどこか陰のある控えめなキャラクターだが、ヒスと会話している時だけは表情もいきいきとしていて、彼女を心から信頼していることがひしひしと伝わってくる。「あの先輩のどこがいいんだ」「1ヶ月以内に好きな相手が変わるはずだ」といった皮肉めいた言葉も、惚れっぽいヒスを心配しているからこその複雑な"男心"だ。

サークルでヒスの詞が褒められているのを見れば、まるで自分のことのように目を細める一方で、後輩の実力に焦りを見せるヒスを励まそうと「お前の歌詞のほうがずっと良かった。顔もお前のほうが...」とつい本音をこぼしそうになり、「あ、いや」と慌てて目を逸らす...といった甘酸っぱい場面も。言葉数も少なく感情の起伏を表に出さないシホだけに、胸に秘めた切ない思いはいつもその眼差しに浮かんでいる。

そんなシホが"魔法の作詞ノート"を知り、ヒスに「好きでもない相手とそんな恋愛を続けていていいのか」と本音をぶつけてから、2人の関係は少しずつ変化していく。失恋しては傷ついていくヒスと、そんな彼女をひたすら見守るシホのもどかしい関係性を軸に、シホのバイトの後輩で明るく積極的なセジン(クォン・アルム)も交えた恋の三角関係も本作の見どころだ。

"魔法の作詞ノート"という存在がファンタジックな世界観をイメージさせるが、物語のベースにあるのは、切なくもどかしい恋心。誰かに愛されたいと願うヒスと、一途に彼女を思い続けるシホ――そのどちらに感情移入するかで印象もガラリと変わりそうだ。何より、ドヨンの瑞々しい存在感が光るキャンパスロマンスにも改めて注目してほしい。

文＝酒寄美智子

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