ニュース王国

綾瀬はるかが演じる凄腕スパイを支える長谷川博己の存在感が強烈!映画「リボルバー・リリー」

2024.5.30(木)

2010年放送のドラマ「セカンドバージン」でブレイクして以降、第一線で活躍を続ける俳優・長谷川博己。今年4月にスタートしたドラマ「アンチヒーロー」でも、長谷川が演じたダークかつミステリアスな主人公が話題になるなど、注目を浴び続けている。

どんな役柄でも印象深く演じるのが長谷川の魅力で、2023年に公開された映画「リボリバー・リリー」でも、綾瀬はるかが演じる主人公の元スパイ・小曾根百合をサポートする弁護士・岩見良明役で出演し、そのダンディな佇まいに称賛が集まっていた。

「リボリバー・リリー」はハードボイルド作家・長浦京の代表作を実写映画化したもので、大正末期の1924年、関東大震災から復興した東京が舞台。百合はかつて世界各国の要人を多数殺害した凄腕のスパイで、今は東京の花街・玉の井でカフェー「ランブル」を営んでいる。岩見は「ランブル」の常連客だった。

岩見は花街の女たちに「先生」と呼ばれて親しまれ、百合の店で働く女の子にお土産を持って行くなどそつがない。依頼された書類を早く仕上げたり、弁護士としても有能だ。そういった岩見は落ち着いた男の色気に満ちていて、ダンディな空気が溢れている。自然な雰囲気でありながら、冒頭から強い存在感を放っているところに、長谷川の演技の妙を感じる。

消えた帝国陸軍の資金の手がかりとなる少年・細見慎太(羽村仁成)と出会った百合が陸軍に狙われるようになっても、岩見はダンディであり続ける。岩見はかつて海軍の士官で、元陸軍中将の升永達吉や、当時大佐だった山本五十六とも面識があり、百合の依頼でそういった人脈を利用し慎太の身辺を調査する。

「リボルバー・リリー」で主演を務める綾瀬はるか
「リボルバー・リリー」で主演を務める綾瀬はるか

慎太の父・細見欣也が、陸軍に依頼され調達した資金を持ち逃げしたこと。上海の銀行にあるその金を引き出すには慎太が必要であり、故に陸軍に狙われていること――明らかになった事実を百合に報告するシーンでの岩見は、冒頭の印象をさらに上回る有能な男に映る。

岩見が活躍するシーンはほかにも多くあり、慎太の持ち物から銀行の暗証番号の手がかりを掴んだり、謎の集団に拉致されても取り乱すことなく、逆に落ち着いた態度で相手の正体を言い当てたりする。頭が切れる上に腹も据わっていて、物語が進めば進むほど岩見が"何があっても頼れる男"であることが印象付けられていく。

一方、慎太を守ると決めた百合は、陸軍の精鋭を相手に血で血を洗う戦い繰り返す。ギリギリの死闘にハラハラしながらも、どこかで"絶対に百合は負けない!"と思ってしまうのは、百合の超人的な戦闘技術に加え、徹頭徹尾百合をサポートする岩見の存在があるからだろう。無意識のうちにそう思わせてしまう長谷川の演技力は、見事と言うほかない。

かつて愛した男の真実を知り動揺する百合を支えたり、慎太を安全な場所に移す手はずを整えたり、岩見は最後まで、忠実に百合をサポートする。そして最後の戦いの前に、物語の中で初めて銃を取る。

その時岩見は、海軍をやめた自分と、百合を守りたいという自分が葛藤するような絶妙な表情と、決意に満ちた表情を見せる。そこまでほとんど語られない岩見の内面を、その表情でわからせてしまう説得力もさすがだ。

実は本作の初日舞台挨拶で、長谷川は役作りに徹するあまり原作と違う岩見像を作ってしまったということで、長浦京への謝罪の言葉を口にしている。しかし本作における岩見が、強烈な存在感を放つ人物としてスクリーンに映し出されていることは、誰もが認めるところだろう。

百合と岩見の戦いは果たしてどんな結末を迎えるのか。長谷川が存在感の強い演技で体現した岩見の魅力はもちろん、好評だった綾瀬はるかの熾烈なアクションシーンにも注目して、本作を心ゆくまで堪能していただきたい。

文=堀慎二郎

放送情報【スカパー!】

リボルバー・リリー
放送日時:2024年6月12日(水)0:30~
チャンネル:WOWOWライブ

放送日時:2024年6月21日(金)10:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます