「西部警察」の系譜を受け継ぎ、渡哲也、舘ひろし、神田正輝ら石原軍団の俳優たちが躍動する異色作「ゴリラ・警視庁捜査第8班」
2024.3.8(金)
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1989年から90年にかけて、テレビ朝日系でオンエアされたドラマ「ゴリラ・警視庁捜査第8班」は、大ヒット作「西部警察」シリーズの後を受けて製作された。いわゆるポリス・アクションドラマという範疇だが、当時人気を博したシルヴェスター・スタローン主演の映画「ランボー」など「傭兵モノ」の影響を受けた作風が特徴だ。コマンド色を押し出した無国籍アクションを意識してか、舞台となる第8班の設定も、警察組織から独立した傭兵部隊として描かれており、登場人物がコンバットスーツを着用してド派手な兵器をぶっ放すなど刑事ドラマというより、戦争映画を思わせる大掛かりな場面が展開する。
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(C)石原音楽出版社
第8班の主要メンバーは以下の4人。班長の倉本省(渡哲也)は、元警視庁捜査一課の敏腕刑事。警察と暴力団との癒着を暴いたことで孤立して辞職し、西伊豆で漁師生活を送っていた。しかし、かつて逮捕に失敗したテロリスト・秋葉(原田芳雄)に漁師仲間を殺されたことから警視庁に復職。新設された第8班の班長に着任する。倉本の要請で加入した伊達健(舘ひろし)は、クールなタフガイ。刑事を辞めてマニラにいたが警察に復職した。実家は長野のりんご農家で、家出同然で上京した過去のエピソードなども語られる。毎回登場する伊達の愛車三菱・スタリオンは特注のガルウイングドア仕様で、当時もカッコいいと話題になった。
続いて、風間有悟(神田正輝)も復職組。台湾が舞台となった第1話で、倉本たちよりも先に現地入りし、颯爽と登場する。北京語に堪能で財テクが得意な異色キャラで、当初は軽妙でコミカルな3枚目的位置づけだったが、後半は髭を剃って二枚目的なキャラにシフト。女性との悲恋エピソードなども描かれる。神田は車の運転がプロ級の腕前で、作中でドリフトやスピンターンを披露するなど、そのドライビングにも注目だ。最年少の刑事・谷川竜太郎(谷川竜)は、体力自慢で射撃も得意。演じる谷川は、これがデビュー作で、役名も芸名にちなんだものになっている。モデル出身らしい長身で端正な顔立ちの華のある俳優だったが、早期に俳優を引退して後に実業家に転じている。
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(C)石原音楽出版社
初回から台湾とフィリピンでの海外ロケを敢行するなど、西部警察をしのぐド派手な作風で注目を集めたが、中盤からはコマンド色が薄まって「西部警察」同様の国内ロケと物量アクションを中心に刑事ドラマ的な色彩に変わっていった。それでも大量爆破などのハードアクションは相変わらずの迫力で楽しませてくれる。さらに終盤では、石原プロ作品「大都会 闘いの日々」(1976年・日本テレビ系)のシリーズ構成を務めた倉本聰を脚本監修に迎え、ヒューマンドラマとしての体制も強化。アクションドラマとしての体裁を維持しつつ、言葉を失った妻・静江(柏木由紀子)を献身的に介護する倉本の姿や、病魔に冒された伊達を軸に据えるなどの感動的なストーリーが描かれた。
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(C)石原音楽出版社
「西部警察」のDNAを継承する、ポリスアクションの決定版である「ゴリラ・警視庁捜査第8班」は、渡哲也、舘ひろし、神田正輝ら石原軍団の俳優たちが躍動し、当時大流行したDCブランドスーツを身にまとったスタイリッシュなドラマでもある。共演には、加納みゆき(後期は田中美奈子)、谷啓、鈴木瑞穂らが登場。毎回のゲスト俳優も個性派ばかりで、初回の犯人役である原田芳雄の色気と存在感は出色だ。ヒロイン的に登場する女優陣も印象的で、特に元ピンクレディーのMIE(現・未唯mie)が歌手役で登場する第33話は、MIEの歌声と美しさが切ないストーリーの中で光っていた。後半のレギュラーとなる田中美奈子の元気な明るさも魅力十分だ。
「西部警察」のインパクトが凄すぎただけに、やや印象が薄まってしまった感があるものの本作も見ごたえたっぷりで、もっと評価されていい作品だと感じる。今回ホームドラマチャンネルでオンエアされるので、石原軍団の魅力を改めて確認してほしい。昭和の刑事ドラマファンにはもちろん、本作を知らなかったという現代のファンにもぜひ楽しんでほしい。
文=渡辺敏樹
放送情報【スカパー!】
ゴリラ・警視庁捜査第8班
放送日時:3月31日(日)スタート 毎週(日)0:30~
放送チャンネル:ホームドラマチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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