「映画ドラえもん」で歌姫・ミーナを演じた芳根京子が感じた声の演技の難しさ。学生時代に熱中した吹奏楽部の思い出も
2024.3.1(金)
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3月1日に「映画ドラえもん」シリーズの第43作目となる「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)」が公開される。同作は藤子・F・不二雄生誕90周年記念作品で、「映画ドラえもん」シリーズで初めて音楽をテーマにした作品だ。
今回はマエストロヴェントー役の吉川晃司やワークナー役の石丸幹二など多くのゲスト声優が出演しているが、その中で"海外で音楽活動をしている歌姫"として物語の鍵となっている人物・ミーナを演じているのがNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」や「累 -かさね-」などの作品でも知られる俳優の芳根京子。幼い頃から身近な存在だった「ドラえもん」に出演した今、芳根はどのように感じているのか。ミーナの印象や俳優業と声優業の向き合い方の違い、吹奏楽部時代の思い出について語ってもらった。
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――「映画ドラえもん のび太の地球交響楽」は音楽をテーマにした初のドラえもんの映画ということで意外だなと感じましたが、芳根さんはいかがでしたか?
「私も初めて知って驚きました。音楽が好きな方はもちろんですけど、音楽にあまり触れたことがない方も『音楽って楽しいな』と思ってもらえる作品になったんじゃないかなと思います。音楽って1人で演奏するよりも、みんなで合奏するほうが楽しいことを学生時代に身をもって感じていたので、それをドラえもんの映画を通して伝えられてすごく嬉しいです」
――台本を読んでみて率直にどのような感想をもたれましたか?
「お芝居の台本とはまったく違ってト書き(場面の説明やキャラクターの状態を表したもの)がなく完成した絵の想像ができないので、どういう状況なんだろうと想像を膨らませながら挑んだのですが、やっぱり台本の読み方が違うので、読んで理解するのが大変でした。いただいた映像と照らし合わせながら、最終的にはこんな感じになるのかなとイメージしながら作り上げていきましたね。収録した時にはまだ完成された映像ではなかったので、徐々に完成に向かっていく映像を見られるのもすごく貴重な経験でした」
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――芳根さんは小さい頃からドラえもんが大好きだったそうですね。実際に完成した映画を見てどう感じましたか?
「大人になってから改めて見ると、ドラえもんの映画ってすごく感動するんだなと思いました。私も学生時代には吹奏楽部で音楽と触れ合ってきたので、この作品に参加させていただいてすごく嬉しかったです。最後にVaundyさんの主題歌『タイムパラドックス』が流れるんですけど、初めて見た時に感動してしまって。音楽っていいなと改めて感じました」
――芳根さん演じるミーナは国内外で人気の歌姫という設定ですが、ご自身のシーンはどのようにご覧になりましたか?
「久しぶりのアニメ作品だったのでドキドキしながら見たんですけど、合格点にしようと思いました(笑)」
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――今井監督からは役作りに関して何かお話はありましたか?
「今井監督からは『とにかく楽しんでやってください』と言っていただきました。ミーナは世界のみんなから愛されている歌姫で、ステージ上で喋ってるところもあれば、会話をしているシーンもあるので、誰に向かって話しているのかという距離感を考えながら演じました」
――劇中ではミッカ役の平野さんとの会話シーンもありましたが、実際にアフレコの現場では対面して演じられたんですか?
「あのシーンは1人でマイクに向かって演じていたんです。後ろに監督さんやスタッフさんがいらっしゃったので、撮るたびに後ろを振り向いて『大丈夫ですか?』という確認をしながらやっていました。ドラマや映画の撮影では目の前に相手が絶対にいて、私たちも衣装を着たり、メイクをしたりしていろんな要素に助けられてワンシーンを作っているので、私はそこをずっと頼りにしてきた部分があって。でも、アニメのアフレコ現場では目の前にスタジオマイクと映像しかないので、そういった環境ではより一層想像力を膨らませる必要がありましたね」
――実写の撮影とアニメでは求められるものが明確に違うんですね
「そうですね。今回は1人ずつ撮っていったんですけど、前にアフレコした時はキャストの方と一緒に入れ替わり立ち替わりで録音していったんです。その時に声優さんってすごいなって。私はそれがどうしてもできなくて、声優さんとは別枠でマイクを用意していただいたことがあったんです。声優さんの大変さも痛感しているので、こうして声のお仕事いただけるのはとても光栄だなと思います」
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――ミーナを演じるにあたり「歌を披露するシーンが緊張する」というコメントをされていましたね。実際に歌を歌ってみていかがでしたか?
「緊張はしたんですけど、当日は監督が優しく指導してくださって、事前に練習の時間も取っていただいていたので、そこまでガチガチになることなく臨めました」
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――劇中でひみつ道具として「音楽家ライセンス」が登場しますが、公開インタビューで芳根さんは「フルートで参加したい」と話されていましたね。もし「音楽家ライセンス」を使って新しいチャレンジをするとしたら、どんなものをやってみたいですか?
「自分がやりたい楽器と自分に向いている楽器は違うんだなと感じたので、私は実際に出たものを練習するかな...。私は何でも楽しんで演奏できる自信があるので、ドラえもんたちみたいに赤い糸で選んでもらいたいなと思いました(笑)」
――「音楽家ライセンス」は励ましてくれたり、アドバイスくれたり、色々とサポートしてくれますが、芳根さんが学生時代にフルートを演奏されていた時にはどういうモチベーションで続けていたんですか?
「私は褒められて伸びるタイプでした。普段の練習が私は大好きでしたし、フルートチームのみんなで練習するのが楽しかったので続けられたんじゃないかなと思います。でも音楽家ライセンスが実際にあったらいいですよね」
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――吹奏楽部の学生時代を含めて音楽の思い出はありますか?
「私の青春は音楽と言ってもいいほど音楽に溢れていた学生時代でした。毎年夏になると吹奏楽のコンクールがあったので、それに向けてみんなで頑張っていて。コンクールは夏休み中の8月頭にあるので、それまでは部活漬けの毎日で、終わったらようやく夏休みみたいな感じでした。コンクールに向けてみんなピリピリするんですけど、そこに全てをかけてやっているので、学生時代にそこまで何かに全てをかけているという経験ができたことが誇りだなと思っています」
――吹奏楽部時代の経験というのは、今の俳優業に活かされているのでしょうか?
「吹奏楽って体育会系みたいなところがあるので、社会で必要な上下関係はそこで学びましたし、この空気を乱さずに自分の意見をどう伝えられるかみたいなことも中学時代に学んだので、その経験は今に活かされているなと感じます」
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――俳優業も周りとの関係性で成り立っている部分もありますもんね
「そうですね。私たちは俳優部という部であって、演出部だったり、美術部だったり、いろんな部がある。そのどれも欠けちゃいけないというのは吹奏楽部時代にも通ずるものがありますよね。それぞれに責任感があって、それぞれが考えて現場に持ってきたものみんなで一斉に見せ合って、1人では決して生まれないものが、みんなの考えを合わせることによって生まれてくるんです。私はそういうのが好きなんです」
――それが芳根さんにとってのやりがいになっている?
「シンプルにお芝居が好きというのもあるのですが、なぜお芝居が好きかなのかと立ち返ってみると、そこにつながるのかなと思います」
――本作は音楽で地球を救うというストーリーですが、これまでの人生を振り返って音楽に救われたエピソードはありますか?
「吹奏楽部に入って人とコミュニケーションを取ることが好きになったことは私の人生の中で大きなことでしたね。私は今こういう風に人と関わることの楽しさを学べたので、全てはご縁であり運命ですよね。自分が音楽という選択肢を取らなかった未来が怖くて、あまり考えたくないと思うくらい音楽には救われました」
取材・文=川崎龍也
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