TikTokの音楽使用、UMGがライセンス契約終了を宣言
2024.2.12(月)
2023年1月31日をもってユニバーサルミュージックグループ(UMG)はTikTokとの間の包括的なライセンス契約を終了するという重大な決断を下した。
この契約終了の背景には、アーティストとソングライターへの公正な報酬の支払い、人工知能(AI)による創作活動への潜在的な影響からアーティストを保護するための措置、そしてTikTokユーザーのオンライン上での安全を確保することが挙げられている。
UMGは、これらの要求に対してTikTokから十分な対応が得られず、「無関心、或いは威圧的な態度」に遭遇したと公表した。これにより、TikTokプラットフォーム上でUMGの楽曲を利用した動画の作成や視聴は今後制限を受けることとなり、多くのユーザーに影響が及ぶ状況である。
UMGはユーザーに向けて謝罪の意を表明しつつも、アーティストの権利と創造性を保護するための必要な一歩として、この決断を下したと強調している。
TikTokとユニバーサルの綱引き
UMGは世界的なアーティストの楽曲利用権を管理する巨人である。それに対し、TikTokは音楽業界における急成長を遂げるプラットフォームとしての地位を確立し、多くの新人アーティストのキャリアを加速させる場となっていた。
しかし、UMGはTikTokによるアーティストへの報酬が極めて低いとして交渉を続けてきたが、最終的には物別れに終わった。この交渉の決裂は、TikTokが音楽業界に与える影響を根本から問い直すきっかけとなり、レコードレーベルやアーティストたちにとって、デジタル時代における音楽の価値とその配分について再考する契機を提供している。
バイトダンス社のTikTokは、売上高が昨年1100億ドルを超えるなど経済的に大きな成功を収めている。しかし、UMGからはその総売上の1%にすぎないという収益の小ささが指摘されていた。
今後、UMGが管理するアーティストの楽曲がTikTokの動画から除外されると、10億人を超えるユーザーはテイラー・スウィフトやドレイクといった大物アーティストの代わりを探すことになる。これはTikTokにとっても大きな打撃となるだろう。
【関連リンク】
・TikTokとの契約に関するお知らせ(ユニバーサル ミュージック グループ)
https://www.universal-music.co.jp/press-releases/2024-02-02/
TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock