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デビュー40周年を迎えた杉山清貴が自身の音楽人生を振り返る「長いようで短い40年だった」

2024.2.1(木)

「飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト」(歌謡ポップスチャンネル)
「飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト」(歌謡ポップスチャンネル)

飯尾和樹(ずん)とコムアイが、日本の音楽シーンに眠るお宝を発掘。多彩なゲストを招きながらミッションを解き明かす音楽トーク番組「飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト」。2月25日(日)放送回では、杉山清貴を大特集。2023年に杉山清貴&オメガトライブがデビュー40周年を迎え、ソロとしてもその歌声で多くの人々を魅了している。今回、番組収録の直後にインタビューを行い、番組のこと、そして自身の音楽活動について語ってもらった。

「飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト」に出演した杉山清貴
「飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト」に出演した杉山清貴

1983年、杉山清貴&オメガトライブはシングル「SUMMER SUSPICION」でメジャーデビューした。1985年にオメガトライブは解散し、杉山は1986年にシングル「さよならのオーシャン」でソロアーティストとしての活動を始動した。その後、何度かバンドを再集結させ、ソロと並行して活動を行っている。2023年に40周年という大きな節目を迎えたが、その年数をどう受け止めているのだろうか。

「長くもあり、短くもあり。でも、どちらかというと短いのかな。デビューしたばかりの時、ツアーで全国いろんな所を回っていたんですけど、ついこの間のことのように感じるので、感覚的にはそんなに昔という感じではないんですよ。バンドメンバーが学生時代からの仲間なので、集まると当時の気持ちに戻ってしまうので余計にそう感じるんだと思います」

解散し、別々に活動していた時期もあるが、学生時代からの結び付きというのは強いもので、それがバンドを再結成させた後もうまく継続できている理由と言える。

「同窓会みたいな感じです。昔と比べると言葉遣いはちょっとキレイになりましたけど(笑)、関係性とかは全然変わってないですから」

デビュー曲「SUMMER SUSPICION」がヒットし、その後も多くのヒット曲を生み出していったが、当時の心境を聞いてみると意外な答えが返ってきた。

「デビュー曲の『SUMMER SUSPICION』は、作曲が林哲司さん、作詞が康珍化さんで、自分たちで書いていたわけではなかったので、売らなきゃという感じは全然なかったんです。もちろん、僕らがテレビの歌番組に出て、歌って演奏して、ライブもツアーを行ったりしてたんですけど、楽曲に関しては『売れてるなぁ』って客観的に見てました。あと、売れてるからてんぐになるとかもなかったですね(笑)。周りのスタッフが結構厳しくて、『おまえら、どこの馬の骨か分からないヤツらをケアしてるんだから、しっかりやれよ!』って、これももちろんそうストレートに言われたわけじゃなくてニュアンスですけど、甘やかされることはなかったので、てんぐになることもなかったです(笑)」

80年代と現在とでは、音楽の聴かれ方や発信の仕方が違っている。インターネットによって情報が速く伝わり、楽曲もより多くの人に届く状況を杉山は歓迎していると語る。

「いろんなことが40年前とは違いますよね。80年代だとコンテストに出たり、デモテープを送ったり、オーディションを受けたり、そういうのがデビューのきっかけになっていましたけど、今は自分で発信できますから。もし、自分たちがバンドを組んだ時に今のような環境だったらもっといろんなことができたんだろうなって思います。YouTubeチャンネルは絶対に作ったと思いますし、そこでライブ映像を流したりして、いろんな人に演奏を見てもらったり。ただ、その中で抜きん出る存在になることはもしかしたら昔よりも大変なのかもしれないなとは思います。でも、好きな音楽をやれる環境は整っているので、それはすごくいいことだと思っています。あ、でもSNSって使い方次第で大変なことになったりするので、僕らの頃に無くてよかったかもしれないです(笑)」

YouTubeや配信、サブスクなどによって音楽がより身近に感じられるのが現在の良さとも言える。海外にまで広がったシティポップ人気も今の環境があったからと言えるだろう。

「音楽の流行もその時その時の時代背景の影響も大きいと思うんです。デビューした80年代はバブル景気という背景があって、エンタメ系が大いに盛り上がっていました。その時代背景に乗っかれたことはラッキーだったなって。そして数十年後、シティポップが海外でも人気が高まって、国内でもいろんな形で取り上げてもらえるようになりました。そういう状況もあって、再結成してツアーとかライブを行っているオメガトライブも注目されましたし、過去の曲も聴いてもらえるようになりました。僕らにとっても、お膳立てされた状況が出来上がっていたわけですから『いいんですか?』って気持ちもありましたね、最初の頃は」

そんな杉山清貴&オメガトライブだが、3月からスタートするツアーがファイナルとなる。

「40周年という大きな節目を迎えて、ここで一区切りかなと思いました。健康面とか体力面とか、そういうのはこの先どうなるか分からないので、それが一番の理由ではないです。今回のツアーをやってみて、みんなが元気になったりしたら、『またどっかでライブやろうよ』ってなると思うんです。そんなふうに集まって何かをやることはこれからもあると思いますけど、ツアーという形で臨むのは最後にしようとみんなで話し合って決めました」

そんな一つの決断を下したファイナルツアーを前に、「飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト」で特集が決定し、収録が行われた。

「以前にもゲストで出演させてもらったんですが、その時は飯尾さんがリモートだったので、今回ようやく会うことができました。こういう形で特集を組んでもらえるのは本当にありがたいです。この番組はMCのお二人が正直な方で、それぞれ違う視点から質問してくれるので、面白いんですよ」

今回の収録では、杉山清貴&オメガトライブの「SUMMER SUSPICION」「ふたりの夏物語 -NEVER ENDING SUMMER-」、ソロ名義の「さよならのオーシャン」「最後のHoly Night」、昨年5月にリリースした最新アルバム「FREEDOM」収録の「Nightmare」の5曲を弾き語りで歌唱。

「こんなに歌うコーナーがあるのはいいですよね。僕らは歌ってナンボなので(笑)。すごくリラックスした雰囲気の中で歌うことができました」

スタジオライブでも変わらぬ伸びやかな歌声を聴かせてくれた杉山。その歌声をキープする秘訣(ひけつ)を聞いてみると、こんな答えが。

「それが、特にないんです(笑)。人に教えてもらうのが好きじゃないのでボイトレも受けたことないですし。風邪をひかないということかな? 50歳になった頃から周りの友人とかが体調を崩したり、病気になったり、そういうことが多くなったので、家にいるときは栄養価の高い物を食べるようにはしています。でも、それくらいですよ」

「最後のHoly Night」のように冬の歌もあるが、杉山清貴というと「夏」のイメージが強い。海の景色を思い浮かべられる楽曲が特徴的である。

「生まれ育った町は、自転車で5分も走れば港に着くくらい海が近くにありました。学生時代も友達としょっちゅう海水浴に行きましたし、15歳とか16歳くらいの頃から南の島に憧れるようになったりして、僕の前世はきっとヤシの実だったんだと思います(笑)。作品を書くとき、意識せずに書き始めると海の景色を書いていますし、原風景となっている海は切っても切れないものですね。ハワイに住んでいたこともあったんですが、ハワイは僕が欲しいものが全部あります。気候、人、キレイな海、おいしい食べ物。僕の中でベストな場所。また住めるなら住みたいですけど、この年になると現実的ではないかなって」

今、ハワイに代わるベストな場所として、種子島を挙げた。

「昔、鹿児島の波乗り仲間に連れてってもらったのが最初でした。行ってみたらすごく気に入って、今では観光大使にもなっています(笑)。沖縄っぽくもなく、ハワイっぽくもなく、種子島独特の雰囲気があります。波がいいので、波乗りしたくなったら種子島に行っています。春と秋、年に2回は必ず行っていて、行き始めて18年くらいたちますね」

最後に、「飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト 杉山清貴 特集」の見どころ、ポイントを聞かせてもらった。

「歌をたっぷりと楽しんでいただきたいですね。あと、トークも。僕は基本的に、質問されたことにはちゃんと返すんですけど、MCのお二人の視点が独特で、質問が普通じゃなくてすごく面白かったです(笑)。予想外の質問が来たりして、それを受けてのトークも楽しんでもらえたらいいかなと思います」

取材・文=田中隆信

放送情報【スカパー!】

飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト 杉山清貴 特集
放送日時: 2月25日(日)21:00~

杉山清貴&オメガトライブ The open air live “High & High 2019”
放送日時: 2月25日(日)22:00~

杉山清貴/杉山清貴&オメガトライブ ミュージックビデオ特集
放送日時: 2月26日(月)1:00~

放送チャンネル:歌謡ポップスチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります