レスリー・チャンの色褪せない輝き!今なお語り継がれる「さらば、わが愛~覇王別姫」での演技
2024.1.16(火)
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香港の国民的スター、レスリー・チャンの死から20年を数えた2023年。主演作「さらば、わが愛〜覇王別姫」の公開30周年というタイミングでもあり、日本では4K版が再公開された。彼の存在に改めて注目が集まり、いまだ変わらぬ人気の高さをうかがわせたばかりだ。
アイドル歌手としてブレイクすると同時に俳優としても活躍すると、チョウ・ユンファらと共にメインキャストを演じたジョン・ウー監督の「男たちの挽歌」(1986年)や、主演を務めた「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」(1987年)などヒット作に出演し、スターへと上り詰めて行ったチャン。
その当時の香港映画界といえば、ジョン・ウー、ツイ・ハーク、ジョニー・トーなど数々の才能が次々と頭角を表していた時期。中でも、多彩な愛の形を印象的な音楽使いとスタイリッシュな映像で描き、90年代に一大ムーブメントを起こしたのがウォン・カーウァイ監督で、チャンは数々のカーウァイ作品にも名を連ねている。

(C)1990 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited All Rights Reserved.
もともと「レスリー・チャン 嵐の青春」(1982年)に影響を受けていたカーウァイ監督が、初めてチャンとタッグを組んだのが「欲望の翼」(1990年)。レスリー・チャンを軸に、マギー・チャン、トニー・レオン、アンディ・ラウといった当時の人気絶頂の香港のスターたちが共演した本作は、1960年の香港を舞台に若者たちの恋愛を描いた群像劇だ。
青年ヨディ(レスリー・チャン)を中心に、彼が口説き恋仲となるサッカー競技場の売り子・スー(マギー・チャン)、ヨディが心移りするクラブのダンサー・ミミ(カリーナ・ラウ)、ミミが好意を抱くヨディの親友サブ(ジャッキー・チュン)、傷心のスーを慰め彼女に片思いをする警官のタイド(アンディ・ラウ)、とすれ違いつづける男女の恋模様が繰り広げられる。
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(C)1990 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited All Rights Reserved.
チャンが演じたヨディは、実の母親を知らないことから心に孤独を抱えており、そんな寂しさを埋めるかのように刹那の愛を求め、美しい人を見れば声をかけずにはいられない影のあるプレイボーイ。チャンはどこか気怠げなオーラを放つ色っぽい青年を、見目麗しいルックスで表現している。
養母から実の母が外国にいることを知らされ、フィリピンへと旅立ってしまうヨディ。自由気ままな行動で周囲を振り回す彼だが、欲望に駆られ心のままに振る舞う姿は猫のように優雅。気高さすら感じるようなヨディの憎めない魅力はチャンの存在のたまものだろう。
その後、カーウァイ作品の常連として、武侠小説をベースとする「楽園の瑕」(1994年)や、カンヌ映画祭監督賞を受賞するなど世界的に高く評価された「ブエノスアイレス」(1997年)へとつながっていくチャンのキャリアにおける重要な1作となった。
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(C)1993 Tomson(Hong Kong)Films Co.,Ltd.
またキャリアの絶頂期に出演したチェン・カイコー監督による「さらば、わが愛~覇王別姫」(1993年)も忘れ難き1作。第46回カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた本作では、20世紀の激動の中国史を舞台に歴史に翻弄される京劇俳優を演じた。
1924年の北京。遊郭で働く母親のもとからから京劇の養成所へと引き取られた少年の小豆は、そこで出会った石頭と共に養成所の厳しい修業に耐え成長。それぞれチョン・テイエイー(レスリー・チャン)とトアン・シャオロウ(チャン・フォンイー)という芸名を持ち、京劇「覇王別姫」を演じる名コンビとなる。だが、中国に、日本軍の侵略、文化大革命など歴史的激動が押し寄せ、2人も激動の時代に翻弄されることに...。
レスリー・チャンが演じたテイエイーは劇で姫を演じる女形の俳優で、覇王を演じるシャオロウに密かに思いを寄せるキャラクター。本作でも持ち前の美貌と妖艶な雰囲気、繊細な演技力を存分に生かし、実らぬ恋の切なさを表現して見せた。
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(C)1993 Tomson(Hong Kong)Films Co.,Ltd.
ゲイの男性の悲恋を描いた「ブエノスアイレス」の公開後には、家父長制の価値観が色濃く残る中華圏で自らもゲイであることを公表したレスリー・チャン。当時のゲイコミュニティはもちろん、現在にいたるまで多大なる影響を与えていることからも分かるように、彼の輝きは今なお色褪せず、人々の心を揺さぶり続けている。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
欲望の翼
放送日時:2024年1月23日(火)19:15~
さらば、わが愛~覇王別姫
放送日時:2024年1月25日(木)18:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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