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杏里の魅力が詰まった貴重なライブ「杏里 CONCERT TOUR 1994 Summer Breeze IN BUDOKAN」から見る世界から愛される所以

2024.1.9(火)

「杏里 CONCERT TOUR 1994 Summer Breeze IN BUDOKAN」(歌謡ポップスチャンネル)
「杏里 CONCERT TOUR 1994 Summer Breeze IN BUDOKAN」(歌謡ポップスチャンネル)

今や世界で流行中の「シティ・ポップ」の中心的存在として、日本のみならず海外からの評価も高いアーティスト、杏里。彼女は、17歳の時に、後にスタンダードナンバーとなった「オリビアを聴きながら」(1978年)でデビュー後、ベスト・アルバム「思いきりアメリカン~I Love Poping World,Anri」(1982年)のヒットで世に知られ、「CAT'S EYE」(1983年)で自身初のオリコンチャート1位を獲得し一流アーティストの仲間入りを果たした。その後、多くのヒット曲を世に送り出し、精力的に音楽活動を続けているレジェンド的存在だ。

代名詞ともいえる「夏」「海」といったイメージの礎となる伸びやかで美しい声と海外アーティストを彷彿とさせるメロディアスな歌い方が多くの人を魅了し、その歌声を聴くことができるライブは毎回大盛況となっている。そんな彼女の魅力がギュッと詰まったライブの一つが、1994年に日本武道館で行われた「杏里 CONCERT TOUR 1994 Summer Breeze IN BUDOKAN」だ。

1994年に発売されたセルフカバーアルバム「16th Summer Breeze」に基づくツアーでセットリストも名曲揃いとなっており、ファン歴の長いベテラン勢から彼女のことを詳しく知らない新規のファンにも響く貴重なライブだ。

ライブは、ダンサブルなナンバー「Groove A・Go・Go」からスタート。続いて、観客に「元気?今日は最後までよろしく!」と声を掛け、「週末だけのPARADISE」「TROUBLE IN PARADISE」を披露して会場を盛り上げた後、バラード曲の「STARDUST GO HOME」「MERCURY LAMP 水銀燈」でしっとりと聴かせる。アップテンポなナンバーからバラードまで、スタートから彼女の魅力をダイレクトに伝える飽きさせない演出に、観客たちは大きな拍手で応えながら彼女が作り出す世界の中に没頭していく。

美しい歌声を披露する杏里
美しい歌声を披露する杏里

ノースリーブでミニスカートのタイトなドレスから純白のスーツスタイルに着替えて「SET YOURSELF FREE」をカッコ良く歌い上げた後、MCへ。MCでは、「毎年"杏里の懐メロコーナー"というのを設けているんですけれども、今日もまたまた"懐メロコーナー"というか(笑)。5年くらい前に打ち上げで『みんなでカラオケに行こう』という話になりまして。そうしたら、ヘアメイクのセイコちゃんが"杏里メドレー"を歌ってくれまして、『こんなメドレーがあったんだ』って感じですごくびっくりしたんですけれども。でも、初めて聴いた時は『これ、コンサートでやったら結構面白いな』って思いまして。5、6年前からずっと『やろう、やろう、やろう』って思って、なかなか機会がなかったんです。今日は"杏里メドレー"じゃないですけれども、とりあえずバーッと懐かしい十何年歌っていない曲もあるので、皆さんも一緒に振り付けて歌ってください!」と語った。

メドレーコーナーでは、「INNOCENT TIME」「思いきりアメリカン」「HAPPY ENDでふられたい」「SURF & TEARS」「CAT'S EYE」「悲しみがとまらない」とメドレーではもったいないくらいの名曲もふんだんに交えたラインナップで会場を沸かせる。

ジャケットを脱ぎ捨てベストスタイルで始まった後半は「ボーイフレンド」から始まり、2回目のMCへ。ファンからの「杏里~、愛してる!」といった声援に「ありがとう!」と手を振って答えながら、「メドレーは楽しんでいただけましたでしょうか?懐かしいですよね。今回このメドレーの曲を並べる時に、私自身も思い出に残っている曲がたくさんあり過ぎて、歌いたい曲がたくさんあったんですけど、とりあえず今聴いていただいた曲を並べてみたんです (笑)」と明かし、「さて、次なんですけれども、最近アンケートでよく見るんですけど、特に洋楽の中でリクエストが多かった曲を歌いたいと思います」とコメントし、「A WHOLE NEW WORLD」を熱唱。

その後、「ドルフィン・リング」「BOOGIE WOOGIE MAINLAND」などを披露し、最後は「ALL OF YOU」をしっとりと歌い上げてステージを後にする。

アンコールでは、ミディアムテンポにリアレンジした「Groove A・Go・Go(New)」「最後のサーフホリデー」を歌い、「オリビアを聴きながら」で締めくくった。さらに、「このまま帰るのも寂しいので...」と急きょ特別にWアンコールを行うことに。「リハーサルもしていないので、歌詞大丈夫かしら?(笑)」と漏らしながらも「ONE -愛はふたりの言葉だから-」を歌って、サービス精神にあふれたライブに幕を下ろした。

さまざまなジャンルの曲を通して堪能できる杏里の美しい歌声と、サービス精神満載の演出まで、アーティストとしての実力だけでなく愛される人柄までも垣間見える貴重なライブ映像から、彼女の魅力を感じてほしい。

文=原田健

放送情報【スカパー!】

杏里 CONCERT TOUR 1994 Summer Breeze IN BUDOKAN
放送日時:2024年1月21日(日)19:00~
チャンネル:歌謡ポップスチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります