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絶望に押しつぶされる上川隆也の演技力が光る!全てのきっかけとなった事件の真相も気になる連続ドラマW「夜がどれほど暗くても」

2023.2.27(月)

WOWOWが手掛ける「連続ドラマW」といえば、有料放送という特性を活かして、スポンサーの制限を受けることのない自由なドラマ作りを可能とするドラマ枠。演出には映画監督を中心に起用し、一流作家による骨太な原作、実力派のキャスティングにこだわり、本格的な社会派ドラマを生み出してきた注目のドラマシリーズだ。

(C) 2020 WOWOW / テレパック

中でも俳優・上川隆也とは相性がいいようで、これまで「マークスの山」「レディ・ジョーカー」「沈まぬ太陽」など実に8本もの主演作が同枠で放送されてきた。そんな彼が「自分の人生が足元から崩れてしまうような役はこれまでのキャリアでも初」と語るドラマが、3月10日(金)よりWOWOWプラスにて全4話の放送される連続ドラマW「夜がどれほど暗くても」だ。中山七里の報道サスペンス小説を、橋本一、谷口正晃という実力派監督の手で連続ドラマ化した2020年の作品となる。

上川が演じるのは、ちまたにあふれる数々のスキャンダルを暴いて売り上げを伸ばしてきた大手出版社の雑誌「週刊時流」の副編集長・志賀倫成。ジャーナリストとしての矜持を貫くために、部下(加藤シゲアキ)にも取材対象者に私情を挟まぬよう叩き込み、真実に迫ることを信条としてきた男だ。だが順風満帆だった彼の人生も、ひとつの事件によって全てが崩れ去ってしまう。久しく疎遠になっていた大学生の息子(葉山奨之)が、ストーカー殺人を起こしたという疑いを掛けられ、その場で命を絶ったというのだ。

(C) 2020 WOWOW / テレパック

数々のスキャンダルを追ってきた週刊誌の副編集長が一転して容疑者家族となり、マスコミの格好の餌食となってしまった志賀は、世間から好奇の眼差しを向けられる日々を過ごすことになる。息子についてあることないことを噂され、ネットでは個人情報まで晒されてしまう。家族への非難、誹謗中傷が次々と志賀家に突き刺さる。そして何よりも今回の事件の被害者遺族となってしまった少女(岡田結実)の心に芽生えた、深い傷と憎しみが、容疑者の父である志賀にも直接向けられることとなり、胸を痛める。あれだけ自信に満ちあふれていた男が、過酷な運命に翻弄され、苦悩する。そんな役柄に説得力を持たせられるのは、役者・上川隆也の演技力の賜物。観客までもがその息苦しさに押しつぶされそうな思いとなるが、それでも目が離せなくなる。

(C) 2020 WOWOW / テレパック

そんな八方塞がりの状況で、絶望の淵にいた志賀だが、「あの優しかった息子が殺人を犯すなど信じられない。これは何かの間違いではないのか――」という思いだけが、彼が深い闇の中で見つけた一条の光だった。そしてその光をなんとか掴み取ろうとするかのように、彼はジャーナリストとして、そして父親として、事件の裏側に隠された真実を追い求めようとする。

上川がこの志賀という役を受けた理由として、「今まで演じたことがない役柄だった」ということと、そして「脚本を読んだ後の読後感がとても良かった」という点があったという。その言葉通り、重厚な題材ではあるが、胸にジワジワと響き渡るものがあるドラマとなっている。

文=壬生智裕

放送情報

連続ドラマW 夜がどれほど暗くても #1~4(全4話)
放送日時:2023年3月10日(金)21:00~
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合があります