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上川隆也が、「ミステリー作家 六波羅一輝の推理」シリーズで演じる、能があるのに爪を隠している癒し系ミステリー作家

2023.12.15(金)

上川隆也という名前を聞いて、最初にどんな役を思い出すだろうか? 2011年から続く、「遺留捜査」シリーズの糸村聡。WOWOWで放送された高村薫の小説が原作の「マークスの山」、「レディー・ジョーカー」の合田雄一郎、あるいは2006年の大河ドラマ「功名が辻」の山内一豊。もしくは、蜷川幸雄演出の舞台「ヘンリー六世」のヘンリー六世や、堤幸彦演出舞台「魔界転生」の柳生十兵衛など、人によって、全く違う顔が上がることだろう。

赤いダウンが印象的な上川隆也
赤いダウンが印象的な上川隆也

共通しているのは、どの役をとっても存在感抜群の主人公で、演じる上川本人も明るく社交的でツッコミ上手な圧倒的主人公タイプであることだ。しかし、上川はその主人公オーラを自在に操り、"能があるのに爪を隠している人物"さえも巧みに演じてしまう。そんな役どころのひとつが、1月4日(木)に日本映画専門チャンネルで放送される「ミステリー作家 六波羅一輝の推理」シリーズの主人公である売れないミステリー作家だ。

大ヒットしたデビュー作以降、小説が全く書けず、リストラ寸前の六波羅一輝は、状況を打開すべく、横山めぐみ演じる編集者の北村みなみと共に取材旅行に出かける。しかし、六波羅は強気の北村に圧倒されっぱなしで、どこか頼りない。偶然、白骨死体を見つけると浮ついた態度になり、警察にも真面目に取り合ってはもらえないが、スイッチが入った途端に目の色が変わり、瞬く間に北村との立場が逆転。上川自身の主人公オーラが作動し、物語の空気を動かしていく。

シリーズ第1作「白骨の語り部」では、由緒ある昆家15代目当主である夫人や地元警察らの信頼も勝ち取り、名探偵のごとく、関係者一同の前で謎解きを披露する。この際に際立つのは、関係者や真犯人でさえも包み込むような六波羅のやさしさだ。演じる上川は、舞台で鍛えた声帯と、声優としても活躍するあのイケボで真実を解き明かしていく。

すると、サスペンスを見ているにもかかわらず、不思議とやさしい気持ちになっていることに気付く。劇中でも真犯人や、その昔、夫の愛人にひどい仕打ちをしてしまった山本陽子演じる15代目当主が後悔の涙を流している。序盤の頼りなさがいつの間にかやさしさに移り変わっているのは、上川の演技力の成せる技だろう。

見終えた時には、2時間ドラマらしい"一件落着!"的な爽快感ではなく、「無事に解決してよかったね」と皆を見守るようなカタルシスが生じ、心洗われるような気持ちにされているのだから不思議だ。刑事モノや舞台、時代劇では眼差しだけで相手を諌めることができる上川隆也が演じる、癒し系ミステリー作家にあなたも心ほぐされてみては?

文=及川静

放送情報【スカパー!】

ミステリー作家 六波羅一輝の推理1 白骨の語り部(主演・上川隆也)
放送日時:1月4日(木)13:00~ほか
※シリーズ第2弾、第3弾も続けて放送
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります