映画「あの花」W主演の福原遥と水上恒司がお互いの印象を語る「安心感に支えられました」
2023.12.8(金)
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福原遥と水上恒司がW主演を務める映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」が12月8日に公開された。
本作はSNSを中心に話題となり、シリーズ累計発行部数85万部を突破した汐見夏衛によるベストセラー小説。現代の女子高生・百合が目を覚ますと、そこは1945年の日本。そこで出会った彰に何度も助けられ恋をするが、彼は特攻隊員として程なくして戦地に飛び立つ運命だった―。今では当たり前のことが許されなかった時代に出会った、百合と彰。2人の時を超えた愛が交差する、涙なくしては観られないラブストーリー。福原は女子高生の百合、水上は特攻隊員の彰をそれぞれ演じる。
今回はW主演を務める福原と水上にインタビュー。テーマの1つとして戦争を扱った作品への向き合い方、役作りで心がけたこと、お互いの印象などを語ってもらった。
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――「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は原作がSNSで「とにかく泣ける」と話題になりました。オファーをいただいた時の心境を教えてください。
福原「原作を読んですごく感動する作品だなと思っていたので、率直に嬉しかったですし、映画でも感動を伝えられるように頑張りたいなと思いました」
水上「実は僕の親族が広島にいて、僕も長崎の高校に通ったりと幼い頃から原爆について触れてきたんです。同世代と比べても戦争に対する思いが強い方ではあるので、最初、彰を演じるにあたってその経験がブレーキになってしまうんじゃないかと悩んでいて。だからこそ、ちゃんと考えた上で撮影に挑みたいなと思っていました」
――ブレーキになるというのは?
水上「僕は辛い経験があるからこそ楽しい時間がより感じられると考えているんです。本作は戦争の残酷な部分を直接的に描いていないので、自分の戦争に対しての思いをちゃんと伝えられるのかなという不安がありました。というのも、彰を演じるにあたってその思いは全く必要のないことなんです。百合と彰の綺麗な恋愛模様を表現して、その裏側で戦争の悲惨さを想像させるだけで今回は十分だなと思いました」
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――水上さんもおっしゃるように、本作は戦争を直接的に描いていませんが、改めて戦争について考えさせられる作品にもなっています。お二人はこうしたテーマに取り組む上で、どのようにすり合わせをしていったのでしょうか?
水上「周りには多くのスタッフさんがいる中で、僕たちが代表というか、1番軸になっていくのでよくお話しをさせていただいたんですけど、このままでは伝わるものも伝わらないんじゃないかなという焦りももちろん最初はありました。僕のような24歳の若者が物申すのってどうなのかなという不安もあったのですが、意見は積極的に提示するようにはしていました」
――その中で役作りはどのように進めていったのでしょうか?
水上「実は僕、原作を読んでいないんですよ。あれだけ長編の小説を2時間の映画にまとめる作業ってとても難しいことで一筋縄ではいかないんです。僕は原作と映画って別物になってもいいなと思っているので、あえて原作の情報を入れずに撮影に臨みました。そもそも僕はちゃんと原作を読んでそっちに寄せていこうと意識したのって『中学聖日記』くらいのもので。ということもあって、原作では彰がどのような人物なのかは分からないのですが、映画ではいろんなことを見ている方々に想像させられるようにミステリアスな彰を演じようと心がけました」
福原「原作は中学生で映画は高校生という違いもあったので、今時の高校生ってどんな感じなんだろうといろんな人に話を聞いたりしながら役を作り上げていきました。百合は意見を素直に口にできる女の子だったので、芯の強さを大事にしたいなと思いながらも、彰たちと出会ってからはいろんなものを受け取る側だったので、柔軟に受け取れたらいいなと思っていました」
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――今回、撮影中に成田洋一監督からの言葉で印象的なものってありましたか?
水上「僕のカットが終わって次のスタンバイをしている時に、成田さんが僕の近くに来て『彰だけ別の世界の人間みたいだね』と言っていただいたんですよ。それを聞いた時に少し嬉しかったんです。特攻隊員はみんな同じベクトルに向いているんですけど、彰は1人だけ違う方向を向いているんですね。それが僕は百合が気になるポイントになったらいいなと思っていたので、それが成田さんに伝わったのかなと思うとやって良かったなと思いました」
福原「すごく親身になって聞いてくださって、優しく受け入れてくださったので、一緒に作れている感覚がありました。最初の話し合いの時に成田監督から『任せます』という言葉をもらったのが嬉しくて。同時にこの作品を背負ってやらなくちゃいけないと奮い立たされたのですごく印象に残っています」
――自分が考えてきた演技プランと、監督が求める演出の方向性が異なることもあるかと思います。そのような場合にはどのように折り合いをつけていくのでしょうか?
水上「僕は基本的に映画とかドラマって監督のものだと思っているんですよ。僕たちがどれだけいい芝居をしたとしても、そこを使われなかったら自分のものではないんです。それは逆もしかりで、僕の中で最悪の芝居してしまったなと思っても、音楽とかカメラワークとか編集でよく見える場合もあります。なので、基本的に僕は監督がこうと言ったものに対しては変えないようにしています。今回に関して言うと、成田さんから『どう思う?』と聞いてくださったから、僕の意見を提示しました。自分と監督の間ですり合わせて、現場で提示していくというのが役者の戦いなんじゃないかなと思います」
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――作中でかき氷を食べるシーンがあったと思うのですが、いずれ別れることを知っている百合と彰だからこそ切ない気持ちになりました。お二人はどのように演じていたのでしょうか?
水上「百合は砂糖水のかかったかき氷を美味しいって言っているんですけど、冷静に考えたらそんなわけないんですよ。というのも、百合は現代でもっと美味しいものを食べているわけで。もしかしたら百合はあそこで彰に気を遣って美味しいって言ったのかもしれないし、そこは分からないんですけど、彰は百合のその姿を見てきっともっと生きたいと思ったはずなんです。僕はそういう解釈を持って演じていました」
――福原さんはいかがですか?
福原「単純に美味しかったです(笑)」
水上「そう言うと思った(笑)。美味しいって言ってたもんね。カメラ外でもずっと食べていました」
福原「でも、作品内の中でも唯一と言っていいほど幸せなシーンだったので、とにかく楽しもうという気持ちで臨んでいました。戦時中の日本で百合はいろんな感情になったと思うんですけど、彰といられることの幸せや甘いものを食べられた幸せの両方を感じられたんじゃないかなと思います」
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――お二人は「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」以来の共演となりますが、お互いの印象を教えてください
福原「今回を通して印象が変わらない部分とより深く知れた部分がありました。前回のドラマの時はあまり話す機会がなかったんですけど、『福原さんってどうやってお芝居をされているんですか?』と聞かれたことがあって、お芝居のことを学んで吸収していく姿勢がすごいなと思っていたんです。今回もそのイメージは変わらず、信念を持っていて、水上さんの背中についていけば大丈夫という安心感がすごくあったので支えられました」
水上「前回はほぼ共演していないに等しいぐらいだったので、今回はまた一からと僕は思ったんですけど、今回の百合を演じるにあたって、この世の全てを受け入れようとしている、女性ならではの器の大きさみたいなものを福原さんに対して感じて。この人の魅力ってそういうところにあるんじゃないのかなと思いました」
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――本作は目が覚めると1945年の日本にいたという設定ですが、もしお二人が過去に戻れるとしたら、いつの時代に戻りたいですか?
福原「前世に行ってみたい(笑)」
水上「前世ってなんだったの?」
福原「占いで前世はイギリスの姫って言われました」
水上「僕はイタリアの靴職人。それも頑なすぎて誰の言うことも聞かずに、孤独で死んでしまったらしくて(笑)」
福原「私、逆だったよ。みんなの言うことを聞きすぎて心が疲れちゃったって言われた(笑)。こうやって知ると面白いよね。前世にどういう人生を送っていたのか見てみたいなと思います」
水上「僕は江戸時代かな。江戸時代の百姓たちの生活を体験してみたいです。あの時代って異質な時代だと僕は思っていて、実際に生活様式の資料を見ているとめちゃくちゃ面白いので、そこに行ってどんな暮らししているんだろうというのは気になりますね」
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取材・文=川崎龍也
▼衣装クレジット
トップス ¥8,470
デニム ¥15,180 moussy(バロックジャパンリミテッド/03-6730-9191(コールセンター))
ベスト ¥139,700(参考価格)MSGM(アオイ/03-3239-0341(代))
イヤカフ星 ¥18,700
イヤカフダイヤ¥29,700
リング ¥41,800 e.m.(e.m. 青山店/03-6712-6797)
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