棋界史上初の快挙! 藤井聡太、八冠までの軌跡<後編>
2023.11.11(土)
史上初の全八冠制覇を成し遂げ、ついに棋界を制圧した藤井聡太八冠(竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖)。八冠を成し遂げた段階では出場している朝日杯、銀河戦、NHK杯、将棋日本シリーズも前年度の優勝者であり、文字通り完全制覇だ。今回は2回にわたってこれまでタイトルを奪取してきたシリーズを振り返っていきたい。
五冠目は第71期王将戦七番勝負(2022年1~2月)で、相手は渡辺明王将。開幕局の大熱戦を制すると、そのまま4連勝と圧倒。二日制七番勝負で安定した実力を見せてきた渡辺からストレート奪取。過半数となる五冠目を獲得し、完全に藤井時代の到来を印象付けた。将棋界の歴史上五冠を獲得したのは大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、羽生善治九段のみで、時代の覇者の証でもある。
六冠目は第48期棋王戦コナミグループ杯(2023年2~3月)で、相手は渡辺明棋王。2連勝して迎えた第3局を大逆転で勝ちそうになるが、珍しく詰みを逃して敗戦。しかし第4局をしっかり勝って3勝1敗で奪取。20年近くタイトル戦に出続けて、藤井以外の年下に負けたことのなかった渡辺に対し、タイトル戦で4連勝と一方的な結果を出している。
2022年度は銀河戦、将棋日本シリーズ、NHK杯、朝日杯と出場できる一般棋戦のトーナメントで17戦全勝し、早指し4棋戦のグランドスラムも成し遂げた。羽生でも成しえなかった偉大な記録だ。
七冠目は第81期名人戦七番勝負(2023年4~6月)で、相手はまたも渡辺明名人。第3局で渡辺のうまい攻めに屈するものの、全体的に充実の指し回しを見せて4勝1敗で奪取。順位戦はC級1組で一期足踏みしたものの、それ以外は止まることなく史上最年少での名人獲得となった。一方、初タイトルからタイトルを持ち続けていた渡辺は18年半ぶりに無冠となった。完全な世代交代となったシリーズだ。
最後となる八冠目は第71期王座戦(2023年8~10月)で、相手は永瀬拓矢王座。全冠の期待がかかった今期の挑戦者決定トーナメントは2回戦の村田顕弘六段、挑戦者決定戦の豊島将之九段と苦しい局面も多かったが、終盤の秘術を見せて勝ち上がってきた。第1局の先手番で敗れ、続く第2局も苦戦を強いられるが逆転勝ち。1勝1敗で迎えた第3局も永瀬の巧みな指し回しの前に劣勢に陥る。しかし終盤に一瞬のスキを突いて肉薄し、逆転勝ちに成功する。第4局もやはり永瀬の研究の前に大苦戦。最後は明確な負け筋に入ったが、大勝負ならではのことか、永瀬に大きなミスが出てまたも逆転してしまう。その後は落ち着いて永瀬玉を仕留め、3勝1敗で王座も奪取、八冠へと登り詰めた。星取りこそ一局分余裕があったが、内容を見れば豊島相手の叡王戦とともに苦しんだシリーズだっただろう。
鮮烈な史上最年少、29連勝デビューからの期待に応えるような、21歳での八冠制覇となった。王座獲得の時点で藤井のタイトル獲得数は18期だが、番勝負としては全勝である。かつて羽生善治九段の七冠は半年足らずで崩れたが、藤井はどれだけの期間全冠を保持できるだろうか。
文=渡部壮大
放送情報【スカパー!】
第71期 王座戦 五番勝負 第3局 永瀬拓矢王座 vs 藤井聡太竜王・名人
放送日時:11月16日(木)10:00~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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