「演技の神」ナムグン・ミンの真骨頂！13歳差のヒロインを包み込む、甘く切ない大人の愛情表現

2023.11.1(水)

「キム課長とソ理事～Bravo! Your Life～」(2017年)や「ストーブリーグ」(2019年)、「黒い太陽～コードネーム：アムネシア～」(2021年)など、多岐に渡るジャンルで全く異なる魅力を発揮し、その演技力が高く評価されている名優ナムグン・ミン。8月に韓国で放送を開始したばかりの新作「恋人(原題)」では10年ぶりに時代劇に挑戦。実年齢で13歳年下のアン・ウンジンとの情熱的なロマンスが大いに話題となった。

11月24日(金)からKNTVにて日本初放送される「恋人(原題)」は、朝鮮時代に実際に起きた丙子(へいし)の乱を背景に、時代に翻弄されながらもたくましく生きる人々の姿を描いたロマンス時代劇。愛する人を一途に守り抜こうとする謎めいた男・ジャンヒョンをナムグン・ミン、好きな人との結婚を夢見る良家のお嬢様・ギルチェをアン・ウンジンが演じている。

容姿端麗で「恋人は自分の手で勝ち取る」と堂々と振る舞うギルチェは、エリート候補の儒生たちの憧れの的ではあるものの、その勝気な性格ゆえ結婚相手が見つからずにいた。そんなギルチェの前に現れたのが、"非婚主義者"のジャンヒョン。女性の扱いがうまく遊び人風のジャンヒョンと、可憐な見た目とは裏腹にモテるための努力を惜しまないギルチェ。序盤は、そうした正統派ロマンスの主人公とは一味違う2人のコミカルな掛け合いが繰り広げられる。

だが、ギルチェがとある男性にかなわぬ片想いをしていることを知ると、ジャンヒョンは彼女の一途な素顔に惹かれていく。そんな中、戦乱が勃発。初めはジャンヒョンなど眼中になかったギルチェも、壮絶な戦禍の中でも飄々としている彼の態度の裏にある優しさに気づき、心が揺れ動く。

「賢い医師生活」で注目を集めた実力派女優アン・ウンジンが演じるギルチェは、幼くわがままだった序盤から、戦争を経験して愛する人々を守る強い女性へと成長していく過程が何とも人間らしくてチャーミング。個性的で魅力に溢れたヒロイン像を作り出している。

そして、そんなギルチェを大きな包容力で包み込むのがナムグン・ミン演じるジャンヒョン。韓国では"演技の神"や"視聴率男"、"ミッコボヌン(信じて見られる)俳優"とまで称され、あらゆるジャンルでヒット作を量産してきた実力派だが、韓国での放送に先立って行われた制作発表会では「不思議なことに、恋愛ものと縁がなかった」と打ち明け、注目を浴びた。

そんなナムグン・ミンのロマンス時代劇とあって、戦乱の中で愛のために命を懸ける姿は説得力も抜群。韓国で高視聴率をマークしたのも頷ける、先の読めないロマンスにぐいぐいと引き込まれていく。

序盤はギルチェに「脈のない男は諦めて、私のところに来ないか？」と甘い言葉を囁いたり、お姫様抱っこしてみせたりと、情熱的な愛情表現を見せるが、彼の本当の魅力が表れるのは戦乱が勃発してから。この戦が無益なものだと分かっていながら、危険も顧みずに戦場へと身を投じていく。理由はただ、ギルチェと彼女の愛する者たちを守るため。敵に襲われたギルチェの前に颯爽と現れ、豪快に敵をなぎ倒す殺陣もほれぼれするほどカッコいい。

戦いで傷ついたギルチェのため、敢えて普段と変わらない軽口で心をほぐそうとしたかと思えば、「君がどこにいても、必ず会いに行く」と真っ直ぐに想いを伝える男らしさが堪らない。愛のために身を捧げることのできる器の大きいジャンヒョンと、戦乱の経験を経て大人の女性へと変貌するギルチェとの切ない恋模様は、回を重ねるごとに味わいを増し、心揺さぶる"永遠の愛"へと昇華していく。

韓国では大盛況のうちにパート1での放送を終えるやいなや、10月からはパート2の放送もスタートし、早くも高視聴率を叩き出している「恋人(原題)」。時代に翻弄されながらも惹かれ合う2人の甘く切ない大人の恋愛模様に浸れること間違いなしの良作だ。

文＝酒寄美智子

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