田原俊彦が初のオンラインライブ「STUDIO LIVE 2020 Love Paradise」で吐露した想い

2023.10.28(土)

2020年8月29日に行われた、田原俊彦の初配信ライブ「TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE 'T' TOUR 2020 Love Paradise ONLINE STUDUO 生LIVE」。1980年に「哀愁でいと」でデビューして40年が経過。自分のペースで活動をし続け、スーパーアイドルとしての道を極めてきた。

新型コロナウィルスの影響で、2020年の3月頃からライブやイベントなどが延期・中止となり、田原が予定していたライブツアーも規模縮小を余儀なくされてしまった。しかし、同年9月10日に開幕するツアーに先駆けて、生配信ライブという形でパフォーマンスをファンに届けた。

フルバンドに加えて、男女六人のダンサーを従えたエンターテインメントショー。無観客ライブではあるが、ある意味、1980年代の歌番組のような雰囲気の中、最新の田原俊彦だけでなく、"あの頃のトシちゃん"を彷彿とさせるフレッシュな姿も楽しめるライブとなった。

オープニングSEが流れ、白いヴェールの向こうにシルエットが浮かび上がる。そして、華麗に一回転し、左手を高く掲げたところで2020年7月にリリースされた76枚目のシングル「愛は愛で愛だ」のイントロが流れ、4人の男性ダンサーたちが登場。続いてヴェールが開き、鮮やかなイエローのスーツを着た田原が「ハッピーサマー！」と元気よく飛び出してきた。しなやかなダンスと優しくも力強い歌声が観る者を惹きつける。続く「好きになってしまいそうだよ」はしっとりと聴かせるタイプのミディアムナンバーで、2019年6月にリリースされた75枚目のシングル。序盤は"最新"の田原俊彦が感じられる曲を立て続けに披露。アーティストとして現在進行形の姿をしっかりと見せてくれた。

しっとりと大人っぽく魅せたかと思えば、「8時だヨ！全員集合！ なんでやねん！」とおどけてみせて、「ジャングルJungle」で明るい雰囲気に一瞬で変えた。

「１、２、３、４、５、６、７、ハッピーサマー！」と雄叫びをあげ、「田原俊彦初のライブ生配信ということで、いつもと雰囲気というか景色も違いますけど、ファミリーのみんな、今回初めて見る方もいらっしゃるかもしれませんけど、いつもこんな感じでステージを務めさせてもらっています」と視聴者に向けてあいさつ。無観客ライブということで、カメラに語りかけたり、カメラに近づいたり、そんなファンサービスも行いながら、田原自身も初の試みにワクワクしているのが伝わってきた。

2人の女性ダンサーとの艶やかなパフォーマンスを見せる「ジラシテ果実」、黄色いジャケットを脱いでエモーショナルに歌い上げる「雨が叫んでる」など、曲ごとに違った場面を見せてくれる田原。「ごめんよ涙」では高く足を蹴り上げるなど、キレのいいダンスで魅せる。

ダンサーによるパフォーマンスコーナーを挟んで、赤と黒の衣装に着替えて登場した田原はシングルメドレーを披露。デビューシングルの「哀愁でいと」に始まり、「ハッとして！Good」「NINJIN娘」「誘惑スレスレ」「ピエロ」と続き、一気に80年代へと誘ってくれる。さらに「祭りだ！祭りだ！」と煽り、「原宿キッス」でテンションアップ。ダンサーたちを呼び込み、スタイリッシュなダンスと共に「チャールストンにはまだ早い」を歌唱。

初期のヒット曲を惜しみなく披露し、「余裕です」と言っておきながら、「熱中症、３歩手前です。ちょっと水分補給していいですか？　もう死にそうです」と、ハードなダンスと歌で体力が消耗しているのが伝わってくる。しかし「僕は死にましぇん！」と「101回目のプロポーズ」の武田鉄矢のセリフを挟み込むところに田原のユーモア精神と気持ちの余裕も感じた。

ダンサーとバンドメンバーを紹介した後、後半戦へ。「最新(シングル)の『愛は愛で愛だ』から去年(2019年)の楽曲『好きになってしまいそうだよ』、新しい曲から始めたんですけど、後半のスタートは懐かしいこの歌から聴いてください」と言って、1981年9月にリリースした6枚目のシングル「悲しみ 2(TOO)ヤング」をエモーショナルに熱唱。無観客でのスタジオライブの特性を生かして、ステージから下りてテレビカメラにグッと近づくなど、アクティブに動き回る。そして自身が主演を務めたドラマ「教師びんびん物語」の主題歌として大ヒットした「抱きしめてTONIGHT」を聴かせる。汗だくになりながらもしなやかなダンスを繰り出し、笑顔を見せる姿はまさにエンターテイナー。マイクスタンドを使って、ファンキーな「Dynamite Survival」でも決めポーズを連発し、見せどころが分かっているのはさすがだ。

「昨日も同じ場所で最後の通し稽古をやったんですけど、今日もランスルーをやらせてもらって、万全の体制で挑んだわけです。今日は僕にとってもみんなにとっても初めての配信ということで、ファミリーのみんなは家でマスクしないで伸び伸び見てくれてると思います。本番(有観客ライブ)ではお客さんがマスクして、声も出せずに苦しい雰囲気になるかもしれないですけど、僕はいてほしいです」と、観客不在のステージの寂しさを吐露。そして、40周年を迎えられたことへの感謝をファンに伝え、しっとりとした「ラストソングは歌わない」、ド派手なパフォーマンスで「顔に書いた恋愛小説(ロマンス)」を披露して本編を締めくくった。
アンコールは、ミニセグウェイに乗って登場し「ラブ・シュプール」、そしてオープニングで歌った最新曲(当時)の「愛は愛で愛だ」を再度歌唱して初の配信ライブの幕が下ろされた。

文＝田中隆信

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