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「こえかぶ」初日公演には内田夕夜、斎賀みつき、高橋広樹、羽多野渉が出演!アフタートークには中村鷹之資も登場

2023.10.20(金)

2022年にスタートした現代語を交えて送るオリジナル歌舞伎朗読劇「こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎」の第2弾となる「こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎 ~雪の夜道篇~」が10月7日から9日まで東京・草月ホールにて上演された。7日には内田夕夜、斎賀みつき、高橋広樹、羽多野渉、8日には置鮎龍太郎、甲斐田ゆき、諏訪部順一、福山潤、9日には立花慎之介、朴璐美、平田広明、吉野裕行が出演した。今回は初日となる7日の公演をレポートする。

本公演では『仮名手本忠臣蔵』と『雪暮夜入谷畦道』の2つの演目が上演。台風が迫る夜中に、放送協会のラジオスタジオで「声で楽しむ歌舞伎 こえかぶ」の生放送が迫っていたが、出演者の誰も到着しないという緊急事態に直面していた。そのような中で番組ディレクターの鈴木昌治(羽多野渉)、俳優の黛寛太(高橋広樹)と風吹蘭(斎賀みつき)、アナウンサーの京本竹夫(内田夕夜)がこの状況をどのように乗り越えるのか......というストーリーとなっている。

朗読劇の前には羽多野演じる昌治を中心にラジオを披露するまでの一連の寸劇が展開され、会場からは笑いが溢れる。最初の演目「雪暮夜入谷畦道」では、片岡直次郎こと"直侍"(高橋広樹)が捕手に追われながらも、花魁・三千歳(斎賀みつき)との切ない恋模様を情感たっぷりに表現。終始笑いにことかかない演目ではあったが、直次郎と金子市之丞(羽多野渉)の臨場感あるせめぎ合いは手に汗握る展開だった。最初は棒読みでぎこちななかった竹夫役の内田が共演者との掛け合いを経て、最後には誰よりも楽しんでいたのが印象的だった。

「仮名手本忠臣蔵」は全十一段の長編における七段目となる祇園一力茶屋の場を取り上げ、家臣のひとり早野勘平(高橋広樹)の妻おかる(羽多野渉)とその兄・寺岡平右衛門(斎賀みつき)を中心に物語が展開された。2本目ということで、4人の掛け合いも乗りに乗っている印象で、抑揚のある台詞回しにうっとりしてしまった。また、おかるを演じた羽多野が羽織の早替をさせられる場面では会場から大きな笑いが巻き起こるなど、声だけではない演技も見どころ満載だった。

本編終了後には「こえかぶ」アンバサダーの中村鷹之資を交えてトークコーナーが行われた。斎賀は「新しいタイプの朗読劇だなと思ってまして、出てきた段階で別の人を演じていた上でさらに歌舞伎の役も読んでいくっていうのはすごい新鮮で面白かったですし、風吹蘭さんがこの物語を読んだらどうなるんだろうとかそういうのをいろいろ考えることがたくさんあって面白かった」と振り返ると、7日に出演したメンバーについて「お笑いチームなんですよ」と暴露すると会場からは大きな拍手が巻き起こった。高橋は「このメンバーは安心でしたよ。楽しくやらせていただくことができましたし、作中のちょっとした朗読コーナーとしてやることはあっても、演劇としての朗読っていうのをしっかりやるのは今までなかったので、役者として深いお付き合いができて嬉しく思っています」と語った。

ヒロインのおかるの演技について触れられた羽多野は「本当に緊張しました。稽古の中でいろいろ教えていただきながら、アクセントであるとかセリフのかけ方や受け方、どこで感情が高ぶったとか、どこで琴線に触れて涙が出てきてっていうのを演出家に教えていただきながらやらせていただいたので、最後の由良之助のところの長台詞はグッときました」と名残惜しそうに振り返った。

最後に鷹之資は「歌舞伎役者の私といたしましては、歌舞伎をこういう形で楽しんでいただけたというのは本当に嬉しく思います。ぜひ歌舞伎にも足を運んでいただけたら幸いです」、高橋は「非常に有意義でチャレンジングで実りの多い一日を過ごすことができました。歌舞伎というジャンルと声優という人たちという別々のものに思われがちなんですけど、やっていることはストーリーの登場人物として演技をしているということはまったく同じで、様式が少し違うということにお気づきいただけたならば劇場に足をお運びいただけたら幸いでございます」、斎賀は「今日は本当に素敵な空間をみなさんと共有することができてとても幸せです。歌舞伎を知らない人、歌舞伎は知っているけど声優さんを意識して聞かない方、その人達が一丸となってこの空間を共有することによって同じものを見て、同じ思いを抱いてそれぞれがコミュニケーションを取れたらいいなと思います」、内田は「『こえかぶ』に関わらせていただいたことで、知らなかった方に巡り会えましたし、知らなかった世界が開いていって、その世界にちょっと踏み込むととても面白いなということが分かりました」、羽多野は「先輩方と一緒に楽しくお届けできて本当に幸せです。こういう機会をいただけて本当にありがとうございました」と締めくくった。

この模様は2023年12月に衛星劇場にて放送されることが決定。歌舞伎と声優の組み合わせが織りなす新しい世界をぜひ体感してみてはいかがだろう。

取材・文=川崎龍也

放送情報

こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎 ~雪の夜道篇~