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藤井聡太を始め、新世代の台頭がめざましい将棋界!それを象徴するタイトル戦の年齢差の記録について紹介

2023.10.7(土)

竜王戦で話題になった同学年対決。では逆に年齢差のあるタイトル戦はどのようなものがあっただろうか。これまでの記録を振り返っていきたい(肩書や段位はいずれも対局当時)。

第3位は2020年の第61期王位戦七番勝負で木村一基王位に藤井聡太七段が挑戦したシリーズ。木村は前年の王位戦で史上最年長の46歳で初タイトルを獲得して臨む、初の防衛戦だった。一方の藤井は棋聖戦と並行して挑戦権を獲得し、史上最年少のタイトル挑戦者だった。開幕当時木村は47歳、藤井は17歳で30歳の年齢差だ。結果は藤井が4連勝で奪取している。

第72期ALSOK杯王将戦で藤井聡太王将に挑んだ羽生善治九段
第72期ALSOK杯王将戦で藤井聡太王将に挑んだ羽生善治九段

⒞囲碁・将棋チャンネル

第2位は2023年の第72期ALSOK杯王将戦七番勝負。記憶に新しい、20歳の藤井聡太王将に52歳の羽生善治九段が挑戦したシリーズだ。年齢差は32歳で、平成のスーパースターと令和のスーパースターの夢の対決は、2年半前に記録された先述の木村─藤井戦の記録を抜くことになった。どちらの記録も藤井が非常に早くから活躍したことと、羽生、木村が年齢を重ねてもタイトル戦に出続けたことで実現した。結果は藤井が4勝2敗で防衛。

⒞囲碁・将棋チャンネル

第1位は1990年の第15期棋王戦五番勝負だ。26歳の南芳一棋王に66歳の大山康晴十五世名人が挑戦したシリーズで、年齢差は実に40歳。昭和の大巨人、大山は年齢を重ねてもタイトル戦に出続けていたが、これが最後のタイトル戦だった。年齢差と同時に、史上最年長のタイトル挑戦記録としても残っている。結果は南が3連勝で防衛となった。

ちなみに4位の記録は1994年の第52期名人戦七番勝負で、米長邦雄名人に羽生善治四冠が挑戦したシリーズ。米長は50歳、羽生は23歳だった。近年第2位、第3位の記録が生まれるまでは長年2位として残っていた。なお、前年の米長は史上最年長で名人を獲得していた。結果は4勝2敗で羽生が奪取。

結果はいずれも若い方が勝利しているとはいえ、このように防衛、挑戦側のどちらにしてもベテランの奮闘が必須だ。近年の記録は、藤井が若い段階からタイトル戦の常連になった影響も大きい。ただ、当面の間は記録を更新するには藤井に対し、羽生よりも年上の棋士が挑戦するしかないため、しばらく新しい記録が生まれる可能性は低いだろう。なお、現役棋士だと谷川浩司十七世名人が藤井とはちょうど40歳差である。

前世代のトップ対、新世代のトップという構図ばかりであり、1位が大山、2位が羽生絡みであることを考えると、果たして30年以上後の藤井はどうなっているだろうか。

文=渡部壮大

放送情報【スカパー!】

(将棋)[生] 第73期 ALSOK杯王将戦 挑戦者決定リーグ戦 羽生善治九段 vs 豊島将之九段
放送日時: 2023年10月23日(月) 13:00~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます