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藤井聡太竜王と伊藤匠七段による史上最年少の戦い、竜王戦七番勝負の展望はいかに!?

2023.10.5(木)

藤井聡太竜王に伊藤匠七段が挑戦する第36期竜王戦七番勝負。同学年であり、21歳の藤井と20歳の伊藤(開幕時)の合わせて41歳のタイトル戦は史上最年少となる。

伊藤は初のタイトル挑戦。デビューから順調に勝ち続けてきた。今期の竜王戦はランキング戦5組で優勝し、決勝トーナメントは一番下から7連勝で制した。中でも挑戦者決定戦で永瀬拓矢王座に2連勝したのは見事だった。当然ながら二日制の対局は初めてで、タイトル戦の雰囲気や長い持ち時間にどこまで順応できるか。

藤井は竜王3連覇の懸かるシリーズ。相変わらず8割を超える勝率で勝ち続け、調子の良し悪しを超越した安定感だ。本来なら若手棋士として扱われる年齢ながら圧倒的な実績を積み重ねて、すでに時代の覇者としての地位を確固たるものにしている。9月末の時点で挑戦中の王座戦五番勝負も2勝1敗とリードし、八冠完全制覇にあと1勝と迫っているところだ。

竜王戦防衛を目指す藤井聡太竜王
竜王戦防衛を目指す藤井聡太竜王

⒞囲碁・将棋チャンネル

両者は小学校3年生の頃に子ども大会で対戦がある。幼少期からのライバルが大人になってからも対戦が続くのは、将棋界らしいところだ。同学年の縁もあり、プロ入り後は団体戦で藤井が伊藤をチームメイトとして指名する一幕もあった。その時はまさかこれほど早く両者がタイトル戦で激突するとは、なかなか想像できなかっただろう。

タイトル戦での若いライバル対決と言えば1996年の第54期名人戦七番勝負の羽生善治名人(七冠)─森内俊之八段戦がある。当時の羽生は全七冠制覇を成し遂げた直後で、森内は初のタイトル戦登場だった。二人は同学年で奨励会に入る前から対戦があり、今回のシリーズとは共通点も多い。結果は羽生が4勝1敗で制したが内容は好局揃いで、この後20年近くに渡ってタイトル戦で戦い続けるライバル同士の1ページ目となった。

過去の対戦成績は昨年に2度対戦があり、どちらも藤井が勝っている。他に非公式戦だが新人王戦の記念対局もあり、やはり藤井が貫録を見せている。戦型は藤井が先手なら角換わり、伊藤が先手なら相掛かりが中心となるだろう。両者居飛車党だが、横歩取りや矢倉、雁木が出る可能性は低そうだ。互いに変化はせず、真っ向からの研究勝負となることが予想され、将棋界全体の流行にも影響を与えそうだ。

注目の七番勝負は10月6、7日に開幕する。「藤井世代」の戦いの始まりとして語り継がれることになるか、将棋史の節目となるシリーズだろう。タイトル戦初登場の伊藤は最初の2局までに初白星を取れるかどうかがポイントになりそうだ。

文=渡部壮大

放送情報【スカパー!】

(将棋)[生]第71期 王座戦 五番勝負 第4局 永瀬拓矢王座 vs 藤井聡太竜王・名人
放送日時: 2023年10月11日(水) 8:45~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます