自然体の松雪泰子が歴史と織り合わさる旅をする映画「この空の花 長岡花火物語」
2023.9.25(月)
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新潟県長岡市を舞台にした映画「この空の花 長岡花火物語」(2012年)が、衛星劇場で10月11日(水)に放送される。本作を手掛けたのは、故郷・尾道を舞台にした「転校生」(1982年)「時をかける少女」(1983年)「さびしんぼう」(1985年)の"尾道三部作"をはじめ、多数の名作を作り続けた日本が誇る映像作家・大林宣彦。
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©「長岡映画」製作委員会 PSC 2011
本作は、「野のなななのか」(2014年)、「花筐/HANAGATAMI」(2017年)へ続く、"戦争三部作"の第1作となった。1945年7月20日に米軍が長岡市に模擬原爆を投下したという知られざる事実を明かす社会派映画でありながら、空襲で命を落とした少女の魂が一輪車に乗って現代に現われるファンタジーでもある。1945年の悲劇・長岡空襲と、同じ長岡市で毎年開催されている日本3大花火大会の1つ・長岡まつり大花火大会が、時を超えて重なっていく。型破りな物語を通じて平和への祈りを込めた大林監督による渾身作だ。
2011年の夏、地方紙記者・遠藤玲子は、東日本大震災の被災者をいち早く受け入れた長岡市を取材するために訪れていた。また、かつての恋人・片山健一から届いた手紙に心惹かれたことも来訪の理由の1つだった。手紙には、「自分が教師を務める高校の生徒が台本を書いた舞台"まだ戦争には間に合う"を観てほしい」と書いてあった。そして、「長岡の花火を見てほしい。お祭りではなく、空襲や地震で亡くなった人たちへの追悼、復興への祈りの花火だ」という結びの言葉にも感銘を受けた玲子。行く先で出逢う人々と不思議な体験を重ねてゆく。
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©「長岡映画」製作委員会 PSC 2011
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©「長岡映画」製作委員会 PSC 2011
主人公の新聞記者・玲子は、松雪泰子が演じた。1991年に女優デビューして以来、数々のドラマや映画に出演してきた松雪。強く美しいダンス教師を熱演した映画「フラガール」(2006年)や薄幸のヒロインに扮した「容疑者Xの献身」(2008年)など、作品ごとに全く異なるキャラクターを演じ分ける実力派として知られる。大ヒットドラマ「Mother」(2010年)では、虐待を受ける少女を誘拐し母親になろうとする小学校教師を演じ、子役の芦田愛菜とともに日本中の涙を誘った。
本作では、旅の夢の中へと誘われていく女性記者を自然体で演じている。取材を続けるうちに、知られざる戦争の痛みや花火大会に込められた想いを知っていく。人々の言葉に真摯に耳を傾け、その想いを受け止め、自身の心とも向き合う玲子。甚大な戦禍や災害を乗り越えてきた長岡の町を、静かに真っ直ぐ見つめている。松雪の慈愛に満ちた瞳や甘く穏やかな声が、大林監督流の不思議な物語の世界を優しく案内してくれているようだ。決意を新たにした微笑みは凛として美しく、爽やかな余韻を残した。
市井の人々の勇気と祈りで平和を作り、何度でも蘇り復興を遂げてきた町・長岡。本作のほとんどの登場人物は歴史の中の実在の人物で、歴史的事実が革新的なセミドキュメンタリータッチの劇映画として綴られていく。夜空を彩る美しい花火に込められた過去・現在・未来を繋ぐ想いから、平和とは何かを深く考える松雪の表情にも注目の作品だ。
文=中川菜都美
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