上野樹里、田中圭、磯村勇斗が紡ぐ三角関係がじれったい！ドラマ「持続可能な恋ですか？～父と娘の結婚行進曲～」

2023.9.23(土)

恋愛、結婚、そして家族のカタチが移り変わりつつある現代。ドラマ「持続可能な恋ですか？～父と娘の結婚行進曲～」(2022年・TBS系)は、そんな多様な愛のカタチをテーマに描かれる王道ラブストーリーだ。上野樹里を主演に田中圭と磯村勇斗という数々の作品に引っ張りだこの2人が共演し、大人同士のじれったい三角関係が展開する。

ヨガインストラクターとして働く30代の杏花(上野樹里)は2年前に母を亡くし、父と2人暮らし。生徒の前では穏やかな暮らしをしているかのように振る舞っているが、実際には毎日忙しなく過ごしていた。父からはいつ結婚するのかと心配されるものの、ヨガインストラクターとしての独立を考えている杏花にとって結婚は二の次。そんな中、彼女は父親に巻き込まれる形で"父娘ダブル婚活"に臨むことになり、恋愛や結婚について考え始めるようになる。

今の社会を映し出すキャラクターを軸に、現代の結婚観や登場人物たちの心の機微を繊細なタッチで描く本作。その中軸を担うのが、結婚願望の薄い30代女性を演じる上野樹里だ。

彼女は引き締まったボディーラインと美しいフォームで、カリスマ性を感じさせるヨガインストラクターに変身。その反面、仕事以外の場面では少々ガサツともいえる杏花の素の性格を巧みに表現し、オンとオフでの自分のギャップにやるせなさを感じる杏花の姿に豊かな現実味を与えている。

そんな杏花と徐々に引かれ合う晴太を演じるのは田中圭だ。息子を持つシングルファーザーである晴太は序盤から杏花への好意をのぞかせるが、彼の不器用な性格に複雑な事情も相まってもどかしい展開が続く。

これまでにも大人のラブストーリーで数々のキャラクターを演じてきた田中だが、今回は分かりやすい胸キュンでも火遊びのような恋愛でもなく、心の揺らぎを丁寧に描くことが求められたのではないだろうか。その点で田中は、息子を思いながらも杏花への気持ちを抑えられない葛藤を細かな表情や目線の一つひとつで表現していたといえる。

田中圭と相対する磯村勇斗が演じるのは、杏花の幼なじみである青年・颯。18年ぶりに杏花と再会した颯は初恋相手である杏花に積極的にアプローチし、晴太を巻き込んでの三角関係へと発展する。

明るく人懐っこい性格の颯は海外生活が長く、杏花にも気兼ねなく抱きついてくるような自由人。磯村自身このような役は初めてだと語っていたが、年下ワンコ系男子を見事に演じて視聴者の心をかっさらった。しかし、そんな颯を待ち受けるのは杏花への思いがなかなか報われない切ない展開。思わず颯を応援したくなるような磯村の演技にも注目だ。

杏花をめぐる三角関係だけでなく、杏花の父・林太郎(松重豊)と整形外科医・明里(井川遥)との恋模様も描かれる。実力派俳優5人が奏でる多様な恋のアンサンブルに胸を揺さぶられながら、人の温かな思いや変わりゆく社会を見つめ直すことができるだろう。

文＝本永真里奈

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