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若かりし頃の阿部寛の鬼気迫る演技が見どころ!映画「凶銃ルガーP08」

2023.8.29(火)

「凶銃ルガーP08」(衛星劇場)
「凶銃ルガーP08」(衛星劇場)

1985年にファッション誌のモデルとして芸能界デビューを果たして以来、圧倒的な存在感を放ち続けている俳優・阿部寛。自称天才物理学者や皮肉屋の建築家、そして21世紀の日本の銭湯に突然タイムスリップしてきた古代ローマの浴場設計技師など、クセの強い役柄でも難なく我がものにする演技力で、日本のエンターテインメント界を牽引する役者の1人だ。

そんな阿部の出演作の1つでもあるのが、1994年公開の映画「凶銃ルガーP08」だ。

今から約30年前、「凶銃ルガーP08」で主演を務める阿部寛
今から約30年前、「凶銃ルガーP08」で主演を務める阿部寛

(C)1994/ヒーロー/大藪春彦

上司からパワハラを受けながらも、淡々とした表情で仕事に打ちこむ商社マン・土井士郎(阿部)。ある日の帰宅途中、少年達に襲撃されているホームレス(大杉漣)を意図せずして救った士郎は、会社のバッジと引き替えに一丁の銃を手に入れる。その銃は、今までに多くの血を吸い続けてきた凶銃・ルガーP08だった。次第に銃に魅入られていく士郎は、ある日、街角で女性に容赦ない暴力をふるうヤクザを威圧し、ねじ伏せてしまう。その出来事をきっかけに、士郎の運命は大きく変わっていく...。

(C)1994/ヒーロー/大藪春彦

本作で阿部が演じるのは、無表情で覇気のないサラリーマン・土井士郎。上司からのパワハラを無表情で受けながらも、その様子を目の前で見ている同僚の女性に誘われた酒の席で「私、土井さんなら寝てもいいな」と冗談を言われるくらいには、男性としての魅力を振りまいている人物だ。そんな主人公を阿部は、自身のスターオーラを封印した上で、シンプルな銀縁の丸メガネとボサボサの髪に固い表情と感情のこもらない声で表現した。

(C)1994/ヒーロー/大藪春彦

銃を手にして以来、士郎はモデルガン店を訪れたり、専門書を購入して分解してみたりなど、次第に銃に魅了されていく。それまでは職場で上司に馬鹿にされている時ですら無表情だった士郎だったが、銃身に刻まれていた文字から、かつての持ち主の素性を知り、銃に残留していた被害者の血に触れたことを機に狂気の表情を浮かべるように。この瞬間から士郎が凶銃の虜になったと明確に理解できるほどに、阿部の鬼気迫る演技は観る者を圧倒する。

ついに銃を身につけながら出勤してしまうほど正気を失った士郎は、銃弾を手に入れるために怪しげなバーに足を踏み入れ、人気のない山奥で射撃練習するように。そんな中、以前、街で威圧したヤクザとその仲間に追い詰められたことから、銃口を人に向けてしまう。人の命を奪ったことを機にタガが外れてしまった士郎は、本能の赴くままにパワハラ上司を威圧し、同僚女性と激しく交わる。それまでの草食系ぶりから一転し、ワイルドな肉食系男子として生まれ変わった士郎を、阿部は文字通り体当たりで熱演した。

その後も、銃を最大限に使うために黙々と身体を鍛え、ガンテクニックを磨いていく士郎。そのシーンで阿部が魅せる美しい肉体も見逃せない。

物語は次第に、士郎とメンツを潰されたことから復讐する機会を探るヤクザとの対立へと展開。そんな中で、銃弾の横流しを仲介した女性・ルルを演じる中島宏海と阿部の、海岸での美しいラブシーンも眼福だ。

爽やかなイケメン俳優として活躍していた若かりし頃の阿部がそれまでのイメージを文字通り脱ぎ捨て、凶銃に取り憑かれた青年の運命を体当たりで演じたバイオレンスアクション。阿部が放つワイルドな魅力をぜひ堪能してほしい。

文=中村実香

放送情報

凶銃ルガーP08
放送日時:2023年9月5日(火)2:15~、2023年9月27日(水)1:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます