伊藤美来の新アルバムは明日の活力に「ポジティブな言葉を全て詰め込みました」

2023.2.18(土)

5月にライブツアーの開催を控えている声優・アーティストの伊藤美来が、2年2カ月ぶりとなる4枚目のアルバム「This One's for You」を2月15日にリリース。本作のテーマとなる「ギフト」は、ファンへの「贈り物」という意味に加えて、彼女自身のなりたいアーティスト像への決意が込められているという。その思いを込めた表題曲「Gift」で作詞を手掛けた伊藤に、こだわりの詰まったアルバムへの思いを聞いた。

――4thアルバム「This One's for You」はどのようなアルバムになりましたか？

「今回のアルバムは、生きていく中で大変だなとか、マイナスな気持ちを少しポジティブに置き換えられる、気持ちが軽くなるようなアルバムを目指しました」

――これまでのアルバムとの違いをどのように意識していますか？

「ひと言で言うと、今までのアルバム制作で積み上げてきたものがちゃんと反映されたアルバムです。『伊藤美来の音楽はこうありたいよね』という思いをスタッフさんともすり合わせながら作ったアルバムが『PopSkip』(2ndアルバム)で、そこからの挑戦も含めて新しい自分を見せようと思って作ったのが『Rhythmic Flavor』(3rdアルバム)」だったので。そんな遊び心と伊藤美来らしさをスタッフさんたちも理解してくださって、その上で私も覚悟を持って取り組んだのがこのアルバムになっています」

――伊藤美来らしさということですが、自身のアーティスト像をどのようにお考えですか？

「シティポップの楽曲がすごく好きで、ポップスをしっかりと作って歌っていけるようなアーティストでありたいです。コンサートでは激しく盛り上がる楽曲はあまりないですが、次の日にちょっと心が軽くなったり、頑張ろうって思ったりしてもらえるようなコンサートにしていきたい。そういう思いがギフトにも繋がっていて、プレゼントを贈るという意味の『ギフト』っていう言葉はやっぱり自分の曲に自信がないと言えることではないので、やっとここまできたと感じています」

――表題曲「Gift」では作詞を担当されていますが、どのような思いを込められましたか？

「どんなことがあっても、自分の糧になる『試練』という名のプレゼントだと思えば、小さな幸せを見つけるポジティブな気持ちになれる。そういう思いで、私の中にあるポジティブな言葉を全て詰め込みました。もちろん私自身も常にそういうマインドで生きているわけではないので、こうなりたいという理想ではありますが、傷ついたりしたときに乗り越えるための私なりのポジティブな言葉たちを並べたので、気分が落ち込んだときに聞いてもらいたいです」

――前に作詞は大変だとおっしゃっていましたが、「Gift」の歌詞も苦労されましたか？

「書きたい言葉をストレートに書いたので大丈夫かなって。サビのところはすごく悩みました。しかも何度作っても曲に言葉が上手くはまらなくて、結局、直しを繰り返してメンタル的にもつらくなってきたんですけど、歌詞はポジティブな言葉を並べないといけなくて...そのギャップに苦しみました(笑)」

――「Gift」のMV撮影で思い出に残っていることはありますか？

「静岡の沼津にある結婚式場で撮影をしたんですけど、撮影の合間には会場下見に来られている方のライスシャワーの体験をスタッフみんなで拍手して一緒に盛り上げたりしました(笑)。リアルに幸せな空気感でしたね。それから、グラスに注いでいた液体は、実は色違いの同じ飲み物なんです。それを違う味に見せかけて演技していたんですけど、どれも水飴と炭酸水でできていておいしかったです」

――レコーディングをする上で印象に残っていることはありますか？

「作曲家さんに来ていただいてイメージを擦り合わせながら、全体としてはいつもより時間をかけてレコーディングをした印象です。弾き語っているような気持ちで淡々と歌う『ユニットバス』や、英語が多い『Oh my heart』も難しかったですが、歌詞の歌いにくさは『Gift』がダントツで、私が作ったはずなのに大変でした(笑)。逆に『トロイメライ・ミライ』はアルバム『PopSkip』の『君に話したいこと』という楽曲が多くの方に愛してもらえて、そういう楽曲をもう1曲作ろうという思いでできた曲だったので、あの時のレコーディングの経験があったからこそ歌えた曲だと感じています。最初からライブコンサートを意識した曲でもあるので、ライブで歌うのが楽しみです」

――5月からはツアーが始まりますが、どのようなツアーにしたいですか？

「まだ詳しくは決まってないですが、このアルバムを引っさげたライブになるので、楽曲がプレゼントだと思ってもらえるようなライブにしたいです。あと、まだやったことがないのでいつかバンドさんと一緒に歌ってみたいんですけど、かっこいい感じは苦手で盛り上げベタでもあるので、優しい感じの楽器たちを集めて森の音楽隊みたいな『伊藤美来バンド』を作りたいです」

――最後にアルバムのリリースを楽しみにしているファンの方々にメッセージをお願いします

「4枚目のアルバムになりました。私が活動できているのは皆さんのおかげなので、そんな皆さんの明日の活力になれるような、自分の思いを肯定する力に変えられるようなアルバムに仕上がっています。すっと心に入ってくる楽曲なので、ぜひたくさん聞いてもらえたら嬉しいです」

撮影・取材・文＝永田正雄
クレジット＝TINA:JOJUN
スタイリスト＝川端マイ子
ヘアメイク＝大久保沙菜

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