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香取慎吾が初めて"ベテラン刑事"を演じたドラマ「アノニマス~警視庁"指殺人"対策室~」

2023.6.26(月)

「アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」(ファミリー劇場)
「アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」(ファミリー劇場)

「こち亀」こと「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の両さんを演じたぐらいなので、今さらではあるが、生粋のアイドルである香取慎吾は俳優としても、決して"おじさん"的ポジションではなかった。SMAP活動休止前、2016年の「家族ノカタチ」で演じたのもおしゃれに暮らす39歳の独身主義者。しかし、同作以来、5年ぶりに連続ドラマに主演した「アノニマス~警視庁"指殺人"対策室~」では、40代のベテラン刑事役となり、骨太かつ貫禄のある演技で新境地を開いた感がある。

硬派なベテラン刑事を演じる香取慎吾
硬派なベテラン刑事を演じる香取慎吾

(c)「アノニマス」製作委員会

「アノニマス」(日本語で「匿名」という意味)は、SNS時代の現在、インターネットでの誹謗中傷や炎上などで自殺に追い込まれる"キーボードによる殺人=指殺人"に対応するため、警視庁内に創設された架空の部署「指殺人対策室」の活躍を描く。香取が演じるのは元捜査一課の刑事で"オオカミ"と呼ばれていた万丞渉。キレ者だが、対策室のオフィスではひとりで雑誌を眺めており、ニコリともしない。若い女性の同僚にも「捜査以外では話しかけるな」と言い放つなど、つれない態度。

対策室の室長は、出世欲はあるが事なかれ主義の越谷真二郎(勝村政信)。そこに配属された新人刑事の碓氷咲良(関水渚)、取りまとめ役の菅沼凛々子(MEGUMI)、ホワイトハッカーの四宮純一(清水尋也)は、無愛想な万丞を遠巻きに見ている。しかし、「裏K察」というサイトに投稿する「アノニマス」という謎の人物が、警察の捜査情報を漏らしていることが問題に。万丞が対策室に飛ばされてしまった経緯も明らかになっていく。実は2年前、万丞の元相棒・倉木セナ(シム・ウンギョン)は銃撃されて再起不能になり、撃たれた瞬間、「アノニマス」と言い残していたのだ。

(c)「アノニマス」製作委員会

SNSで「死ね」とバッシングされた人が本当に死んでしまうような事件が起き、万丞は攻撃した人に「強い人間なんていない。人は誰でも、この指1本で傷ついてしまう。人はもろいものなんだ」と真剣な表情で語る。匿名という状態はそんなふうに人を卑怯にも残酷にもするが、逆に匿名だからこそ暴けることもある。終盤では「アノニマス」と名乗って警察を激しく批判する者の正体が判明し、さすがの万丞も衝撃を受ける。

若い碓氷のように匿名の人物の攻撃を「許せない」と批判するだけでなく、警察も正義一辺倒ではないと知っているからこそ、アノニマスのような匿名の活動にも共感を示す。そんな清濁併せのむ万丞を、香取はオーバーアクションではない抑えた芝居で体現。後悔の思いを顔に滲ませ、まさに苦み走った中年男性として万丞を演じている。

香取の主演作、大河ドラマ「新選組!」(2004年)の脚本家・三谷幸喜が、日本人でありながらハリウッド映画のような雰囲気を出せる香取のキャラクターを稀有だとして絶賛したように、海外ドラマライクな本作に香取の存在感はぴったりとハマっている。

キャスティングも豪華で、香取と捜査一課の刑事・羽鳥賢三を演じる山本耕史の共演が楽しい。「新選組!」で近藤勇と土方歳三を演じて以来の親友である2人が、仲良しではないが同じ正義感を共有する関係を演じ、その2ショットからも、すっかり大人になったかつての青年たちの姿を感じられて、エモい。

文=小田慶子

放送情報

アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~ 一挙放送
放送日時:2023年7月2日(日)18:55~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます