音楽界のカリスマ・GACKT& HYDEが共演し、独特の世界観を表現した映画「MOON CHILD」
2023.6.18(日)
独自の世界観を持つアーティスト・GACKTが原案を手掛けたストーリーを映画化した「MOON CHILD」(2003年)。主演にL'Arc〜en〜Cielのボーカル・HYDE、監督に瀬々敬久を迎えて、GACKT自らも出演&シナリオ作りにも参加。ヴァンパイアとストリート・ギャングの友情を越えた絆を、壮大なスケールで描きだした。GACKTとHYDEという、絶大な人気を誇る2大アーティストの共演は、公開当時大きな話題となった。
物語の舞台は、日本が経済破綻し、多くの国民が移民となって海外に移住した近未来。時は2014年、欲望と暴力に支配されたアジアの片隅にある移民都市・マッパで、日本人移民の少年・ショウとその仲間たちは現地マフィアに絡まれてしまう。そこに現れたのは、謎の人物・ケイ(HYDE)。永遠の命を持つ彼の助けによって難を逃れたたショウたちは、やがて仲間となり、共に移民都市でのし上がっていくこととなる。
月日は流れ2025年。19歳になったショウ(GACKT)たちは、マフィア組織"義心会"を襲撃し、大金を手に入れようと画策していた。彼らが事務所にもぐりこむのと同時に、義心会に恨みを持つ青年・孫(王力宏)が事務所を襲撃。ショウとケイらは孫と結託して戦い、奇妙な友情が芽生えていく。そして、孫の妹・イーチェとの出会いにより、ショウとケイとイーチェの淡い三角関係へと発展。彼らにとって、これまでにない幸せな日々が訪れる。しかし、その幸福は長くは続かなかった。義心会の殺し屋が復讐のために彼らの前に現れ、運命は再び残酷な音を立て始める...。
GACKTの中に芽生えたイメージを映画化したというだけあって、まさにハマり役の2人。バイオレンス×ヴァンパイア×異国という盛りだくさんの設定が、2人の魅力をさらに際立たせ、まるで2人のプロモーションビデオを見ているような美しさに引き込まれてしまう。
それでいて、青年期のショウを演じる際に見せるGACKTのやんちゃさ&かわいらしさや、ヴァンパイアとして生きるHYDEの苦悩と相反する残虐性という、音楽活動では見ることのできない俳優としての顔が見られるのも本作ならではの楽しみだろう。
実は、初めはケイ役を自ら演じようと思っていたというGACKT。だが「HYDEが表現しているものから与えられる、根拠や理由を求める必要のない、圧倒的な存在感に引かれた」と、HYDEがケイに適役だと思った理由を明かしている。そしてアプローチを受けたHYDEもまた「作り手の人間性とか世界観を感じた」とGACKTをリスペクトし、映画に初めて挑んだ。カリスマ的存在の2人が共鳴し、生まれた本作。2人が歌う主題歌「オレンジの太陽」と合わせて、ぜひ楽しんでほしい。
文=鳥取えり
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