楠木ともりが待望の1stフルアルバムを語る!名曲「ロマンロン」のモデルになった友人との共演は「不思議な感覚で照れくさかった」
2023.5.31(水)
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ソロメジャーデビューからまもなく3年を迎える声優・楠木ともりが、1stアルバム「PRESENCE / ABSENCE」を5月24日にリリースした。本作ではこれまでに発表した全16曲に、新曲「PRESENCE」「ABSENCE」を加え、さらに初めてアーティストからの楽曲提供を受けた4曲を含む全22曲が収録されている。「PRESENCE=存在」「ABSENCE=不在」の2つのテーマで作り上げ、2枚同時リリースした経緯やアルバムにかける思いを語ってもらった。
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――本作のテーマはどのように決められたのでしょうか?
「今まで表題とカップリングとして分けずに、どれも同じ立ち位置で楽曲を楽しんでほしいという思いでEPを作ってきたので、アルバムの曲を決める時にどの曲も外せないなって。でも22曲は多いので2枚に分けることになったんです。そこでテーマを決めることになって、今まで書いてきた歌詞が‟自分と誰か"、‟自分の中の何か"にフォーカスを当てた曲が多かったので、全部をひっくるめて『存在』と『不在』に決めました」
――楽曲はどういう基準で振り分けましたか?
「『存在』は憧れの存在であったり、逆に自分の中に存在する嫌なところだったりをイメージしていて、『不在』は自分に足りないものや、いなくなってしまった人への歌をイメージしています。それぞれ連想される方に楽曲を分けていきました」
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――「PRESENCE」はただ存在を肯定した歌ではないことが印象的でした
「私自身が衝動というか、何かをしたい気持ちが強いタイプで、でもそのエネルギーって放出してみないとどこに向かっているのか分からないんです。それがポジティブな方に向かう人もいれば、少しネガティブな方に行ってしまう人もいるんだろうなって感じていて、それを形にした曲なんです。実は、4thEPの表題曲『遣らずの雨』と繋がっていて、『遣らずの雨』は最終的にバッドエンド寄りなんですが、『PRESENCE』は良い方向に立て直すアナザーストーリーの歌。ネガティブな感情や、暗いものの中を最初は進んでしまうけど、Bメロの『僕自身を笑わせるため』という目的を登場人物が見つけてから、明るい方に好転していく歌になっています」
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――「ABSENCE」はリアルな心情を感じました。これは自身の経験からくるものですか?
「この曲を書く直前は、ずっとお世話になっていたマネージャーさんが退職することが決まった頃で、それを引きずっていた時に書いた曲です。楽器の編成がピアノと弦だけなので、歌うときに気持ちが入りやすい分、ボーカルの細かいところまで聞こえてしまうので、感情的ではありつつ細かいニュアンスに気を付ける必要のある曲でした。新曲を披露する頃にはマネージャーさんは辞めてしまいましたが、嬉しいことにライブに来てくださっていて、『泣きました』って言われた時には‟届いて良かった"って思いました」
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――今回初めて楽曲提供を受けられていますが、どのような経緯だったのでしょうか?
「今までは自分で曲を作ることにこだわってやってきましたが、アルバムではいつもと違うことをしたくなったというのが大きいです。ハルカトミユキさんやCö shu Nieさん、meiyoさんは楽曲が好きな方々ですし、TOOBOEさんもアルバムの新録曲の中にすごく欲していた曲調だったので、新たな学びがあったらいいなという思いでお願いしました」
――楽曲提供してもらう際、どのようなリクエストをしましたか?
「アルバムの意図やテーマを分けていることをお話しして、基本的にはフリーダムです。もちろん曲の系統やテンポ感は伝えていて、例えば、ハルカトミユキさんならライブの最後の方で白めの照明でやる曲。meiyoさんは"何かが足りてない女の子の曲"とか。そういうなんとなくの骨組みだけをお願いして、あとはそれぞれのアーティストさんの"らしさ"を活かして自由に作っていただけたら、とご相談しました。」
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――レコーディングをしてみていかがでしたか?
「いろいろと発見がありました。TOOBOEさんの『青天の霹靂』はロックサウンドでめちゃくちゃ歌いやすかったんですけど、自分の曲調に近いかなと思っていたハルカトミユキさんの『それを僕は強さと呼びたい』が意外にも難しかったです。普段ロックを聴いているせいか、歌を早めに入れがちなタイプなんですけど、この曲は畳みかけるフォークの系統に譜割が近いんですよ。リズムというよりは詰め込まれてる感じの曲で、譜割が早い分すごく焦って歌ってるように聞こえてしまうので、走らないように微調整するのがすごく難しかったです」
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――楽曲提供を受けた感想はいかがでしたか?
「新しい風が入ってくるような感じがして、またぜひやらせていただきたいなと思いました。それぞれ違う人が書いたはずなのにすごく私に合わせてくださっていて、まるで自分のことを歌われているような気持ちになる曲ばかりでした。プロの技ですよね。私もいつかは提供する側をやってみたいと思うんですけど、まだその段階ではないのでもっと頑張りたいと思います」
――MV撮影の思い出を教えてください
「今回のMVには私以外の方が初めて出演しているんですが、両方のMVに出てくる女優さんと私は高校時代の同級生なんです。実は『ロマンロン』(1stEP収録曲)のモデルになってる子で、高校生の時に女優を目指して頑張っている姿を見ていて、大人になって晴れて事務所に所属されたので、『出てよ』って頼んで出ていただきました。現場で友達に会うのがすごく不思議な感覚で照れくさかったですし、プロと一緒に文化祭の出し物を作ってるみたいな感じがして、メイクでの待ち時間も2人でケタケタ話していたのがすごく楽しかったです(笑)」
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――また共演できるのが楽しみですね
「また出てほしいです。ただ同じ人ばかり起用するわけにもいかないので、『ロマンロン』を実写化する時か、いつかベストを出す時にまた呼べたらいいなと思いますね。その時には実写化してほしい楽曲を投票で選ぶというのも面白いそうだな、なんて思っています。」
――夏には全6都市を回る過去最大規模のツアーが開催されますが、心境はいかがですか?
「アルバムを引っ提げたライブであり、声出しが久々に解禁になるということで、私のライブはコールがないので声が聞けるというよりは、『アカトキ』を一緒に歌いたいという気持ちです。逆にどうしようか悩んでいる曲はmeiyoさんが提供してくださった『StrangeX』。自分が作ってない楽曲に関してどういう演出にするか、楽しみたいと思います」
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――最後に読者の方にメッセージをお願いします
「今まで作ってきた全曲に加えて新曲も入った豪華なアルバムになっています。楽曲提供していただいた曲は今までの私からは出なかったニュアンスやメッセージ性が色濃く出てるので、その新鮮さを楽しんでほしいですし、既存楽曲もアルバムに入れるにあたって聞こえ方や感じ方も変化してると思うので、ぜひ、最初はシャッフルせずにそのまま聞いてもらえたら嬉しく思います」
撮影・取材・文=永田正雄
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