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戸田恵梨香と松下洸平の息の合った夫婦役!ロマンティックな展開も話題を呼んだ「スカーレット」

2023.5.28(日)

「連続テレビ小説 スカーレット」(チャンネル銀河)
「連続テレビ小説 スカーレット」(チャンネル銀河)

女性陶芸家の波乱万丈な人生を描いた「連続テレビ小説 スカーレット」(2019年)。失敗や挫折を乗り越え奮闘する一人の女性の物語で、"生活者としてのリアリティ"が演者の些細な仕草や間の中にごく自然に表現されていた。ヒロインはもちろん、すべての登場人物が日々の生活を送りながら物語の中で息づいている。ファンタジーではなく視聴者と同じ目線にドラマの世界があることが「リアルすぎる」と評判になり、近年の朝ドラの中でも高い人気を誇った。

喜美子と八郎の恋の行方も好評だった「連続テレビ小説 スカーレット」
喜美子と八郎の恋の行方も好評だった「連続テレビ小説 スカーレット」

(C)NHK

主人公は、戦後まもなく大阪から家族と共に滋賀・信楽にやってきた川原喜美子。貧しさから15歳で大阪の下宿屋で働き、新たな出会いの中で成長する。信楽に戻った喜美子は陶芸界に飛び込み、結婚や出産を経て家族と幸せな日々を送るも、なかなか思惑通りにはいかない。それでも変わらない陶芸への情熱で、独自の信楽焼を見出していく。

ヒロインにキャスティングされたのは戸田恵梨香。大ヒット作への出演も多数で、近年では「大恋愛~僕を忘れる君と」(2018年)や「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」(2021年)など話題作で主演を務めている。枚挙に暇がないほどの多彩な作品で異なるキャラクターを演じ分け、その実力は多くの人が知るところだ。そんな彼女が、喜美子が貧しい一家の働き手となり女中として働きはじめた15歳から、出会いと別れを経て人生の荒波を乗り越えてきた50代までを演じ切った。

華奢なイメージが強いが、あどけない少女時代に合わせ体重を増やして撮影に臨み、歳を重ねるにつれて減量していくなど、外見の役作りにも並々ならぬこだわりを見せた。全身から溢れる10代の溌剌とした煌めき、屈託のない若さゆえの無敵感が眩しい。それらを心の火種として宿しながら、泥臭くても懸命に力強く自分の足で人生を歩んでいく。

陶芸と芝居、対象は違えどモノづくりへの尽きない情熱や燃えたぎる炎を秘めた心も、戸田に重なって見える。頑張り屋で負けん気が強く、頑固で繊細な面も合わせ持つ喜美子。自然体の演技によって多面的に形作られ、一人の人間として物語の中に生きて存在していた。

また、ヒロインが織り成す恋愛模様も注目ポイントの一つ。喜美子と相手役の十代田八郎によるロマンティックな恋の行方も大きな話題を呼んだ。八郎には舞台作品を中心に活動していた松下洸平が抜擢された。2018年の舞台「母と暮せば」と「スリル・ミー」の演技により第26回読売演劇大賞杉村春子賞と優秀男優賞、第73回文化庁芸術祭演劇部門新人賞受賞を受賞するなど、高い評価を得てきた松下。何度も朝ドラのオーディションを受け続け、ようやく本作で出演に至ったという。

陶芸家を夢見る若手社員として喜美子と出会い、陶芸を通して距離を縮めていく八郎を好演している。爽やかで優しげな二枚目ながら昭和の世界観がよく似合う松下に、素朴で誠実な青年はハマり役だった。陶芸を喜美子に教えるうちに距離が近づき、敬語が緩む瞬間も微笑ましい。付き合ってもいない女性のことを名前で呼べなかったり、抱き寄せるのに許可を取ったりと古風な一面からも実直さが伝わる。

一方で、将来設計を語りながら何でも予定通りではつまらないと不意打ちでキスをするなど、時折見せる男の顔にも胸をときめかされる。彼に夢中になる視聴者を指す"八郎沼"にハマる人が続出したのも、松下が演じたからこそだ。

戸田と松下による息の合った夫婦が大きな反響を呼んだ本作。少しずつ想いを寄せていき、結婚に向け奮闘し、苦難を乗り越えて家族になっていく。テンポの良い掛け合いや間に流れる空気感も自然で、相性の良さを感じさせた。寄り添い、時にすれ違い、形を変えながらも歴史を積み重ねていく二人の行く末を温かく見守りたい。

文=中川菜都美

放送情報

連続テレビ小説 スカーレット
放送日時:2023年6月12日(月)8:15~
※毎週(月)〜(金)8:15~(2話連続放送)
チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合があります