北川景子が美脚を披露してギャルっぽい役を好演!その演技力が作品に与えた大きなもの
2023.5.21(日)
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数々の作品で主演を務めるほか、助演としてもしっかりとした演技で作品のクオリティーを支える女優・北川景子。北川といえば、現在出演中の大河ドラマで"戦国時代の天下一の美人"お市の方を演じるなど、その美貌に付随する気品のある役柄の印象が強い。だが、そんなイメージとは真逆の役柄も見事に演じ切る演技力を有している。その演技力がいかんなく発揮され、作品に欠かせないものを与えている作品が2016年に公開された映画「の・ようなもの のようなもの」だ。
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(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会
同作品は、森田芳光監督のデビュー作、映画「の・ようなもの」(1981年)のその後を描くオリジナル作品。「の・ようなもの」ほか多数の森田作品で助監督や監督補を務めた杉山泰一監督がメガホンをとり、松山ケンイチが主演を務める。
落語家一門の出船亭の内弟子・志ん田(松山)は、師匠・志ん米(尾藤イサオ)から、かつて一門に在籍していた志ん魚(伊藤克信)を捜してほしいと頼まれる。志ん米は、一門のスポンサーで、志ん魚をひいきにしていた斉藤後援会長(三田佳子)のご機嫌をとるため、もう一度志ん魚を高座に引っ張り出そうと考えていた。志ん田は、志ん魚捜しに奔走する、というストーリー。北川は、志ん田が密かに思いを寄せている志ん米の娘・夕美を演じる。
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(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会
夕美は天真爛漫な性格で、思ったことをすぐ口にするサバサバ系女子。パワフルで、明け透けで、直情的で、ガサツで、口が悪く、常に志ん田をイジっているという、いわば"ギャルっぽいキャラクター"で、良い意味でも悪い意味でも周りの人々を巻き込むという役どころ。衣装も、肩の部分が開いたTシャツに短パンという公開当時のギャル系ファッションに身を包んでいる。
そんな、今の北川のイメージとは真逆なキャラクターなのだが、なかなかどうして「これが北川の素に近いのか?」と思ってしまうほどに自然に演じており、短パンから覗くまぶしい美脚もセクシーというより健康的な印象を与えるほど。特に、松山との掛け合いでは、志ん田が"受け"側の役どころのためグイグイと絡んでいくのだが、迷惑そうな志ん田にかまわず振り回す夕美の嫌味を感じさせないパワフルさは圧巻。「こんなギャルいるよなあ」「可愛いのに、ちょっと残念...」と思わずくすりとさせられてしまう。
さらに特筆すべきは、夕美として北川が作品に与えているものの大きさだ。志ん魚を捜して奔走し、見つけた志ん魚に高座に上がるよう説得する「志ん田のドタバタ奮闘劇」という物語の軸に、紅一点の華やかさに加え、志ん田を振り回すことで生まれる"笑い"で、作品に"コメディとしてのリズム"を与えているのだ。
ストーリーをひも解けば、師匠の無茶ぶりに奔走する弟子の頑張る姿とその成長が描かれているため、コメディ作品としての"分かりやすい笑い"の要素を担っているのは志ん田と夕美の掛け合いのシーンがほとんど。つまり、要所要所で「北川が明るく嫌味がない感じで松山を困らせている」からこそ、作品が明るい雰囲気で進んでいくと言える。サーカス団で言えば、ピエロの役まわりといえば分かりやすいだろうか。
主演の松山を"裏"主演として支える北川景子の、イメージとは真逆の役柄を見事に演じ切る演技力に注目しつつ、その役を全うすることで作品に与えている大きなものにも刮目して見てほしい。
文=原田健
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