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道枝駿佑(なにわ男子)&福本莉子、若手実力派俳優の2人が映画「今夜、世界からこの恋が消えても」で作り出す作品の礎となる空気感

2023.5.18(木)

いつの時代においても"若手実力派俳優"たちは自然発生的に頭角を現し、エンタメ界を盛り上げてくれる。そして、その年代のほとんどは20歳前後で、若者でしか演じられない青春物、恋愛物に鮮やかな色を加えてくれる。ともすれば、青春物、恋愛物は頭角を現してくれる若手実力派俳優たちによって支えられていると言え、彼らなくして名作は生まれないと言っても過言ではない。そんな状況の中、道枝駿佑(なにわ男子)と福本莉子という若手実力派俳優の出現によって生まれた名作が、2022年の映画「今夜、世界からこの恋が消えても」だ。

本作は、一条岬の同名恋愛小説を映画化したもので、映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」など数々の青春恋愛映画を手掛けてきた三木孝浩監督がメガホンを取り、映画「君の膵臓をたべたい」の監督・月川翔と映画「明け方の若者たち」の監督・松本花奈が共同で脚本を担当。そして、道枝と福本が主演を務める。

高校生の神谷透(道枝)はクラスメイトに流されるまま、話したこともない同級生の日野真織(福本)に思いが伴わないまま告白をする。だが、真織は快諾し、翌日の放課後に透の教室で再会することを約束。翌日、いじめっ子から友人を守るための偽りの告白だったことを謝罪する透だったが、真織は告白の様子を撮影されてSNSに投稿されたことで2人が付き合うことが周知の事実となってしまったことに触れ、「お互い本気で好きにならないこと」を条件に嘘の恋人関係になることを提案。恋人のふりをしながら互いの距離を縮めていく中、うたた寝から目覚めた真織が透を認知できず狼狽する事件が発生。その後、真織は、自分が前向性健忘症で、夜に眠るとその日の出来事をすべて忘れてしまうことを透に打ち明ける。彼女は毎朝、前日までの日記を読み返すことでどうにか記憶をつなぎ止めていた。透はそんな真織と1日限りの恋を積み重ねていく。

「今夜、世界からこの恋が消えても」に出演する福本莉子と古川琴音
「今夜、世界からこの恋が消えても」に出演する福本莉子と古川琴音

(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

この作品の核となるポイントは、何と言っても道枝と福本が織り成す緩やかで温かい空気感だろう。道枝は普段のアイドル活動で見せるキラキラとしたオーラは封印し、純朴で優しい男子高校生を熱演。母親が亡くなり、小説家を目指していたが筆が止まってしまった父親と2人暮らしというストレスを抱える環境にありながらも、怒ったり、焦ったり、イライラしたりなどはなく、常に優しく真織に寄り添う透を演じている。

一方、福本は記憶を無くして目覚め、昨日までの日記を読むことで記憶を繋ぎ止め、漠然とした未来への不安を抱えながらも懸命にその日を生きる前向きな少女を好演。リスクヘッジのため両親と親友の泉(古川琴音)以外に病気を知られてはいけないという状況の下、毎日明るく透と接し、本当の恋人のような関係を築いていく。

最初は真織の提案を受け入れる形で嘘の恋人になった透だったが、「お互いのことを知るため」と真織の質問に答える日々を経て、次第に心を開いていく。ゆっくり、じんわり、優しく、穏やかに、緩やかに縮まっていく距離感を短時間で描き上げられているのは、2人の作り出す空気感によるものに他ならない。それは、口調や表情、視線、所作などももちろんだが、共に心のどこかで抱えている"不安"や"誰かに身を預けて安らぎたい"という思いを互いの存在で支え合っているという、役の核となる部分をしっかりと押さえているからこそ作り出せている。

透の「真織の日記を幸せで埋め尽くしたい」という思いから、楽しい日々を紡いでいく2人。だが、クライマックスでは思いもよらぬ展開が待ち受け、涙なしでは語れない結末へと進んでいくのだが、それでも2人の役の核となる部分がブレていないことで、衝撃的な展開に説得力を与えている。

本作で頭角を現した現代を代表する "若手実力派俳優"の2人が作り出す、作品の礎となっている空気感をぜひとも味わっていただきたい。

文=原田健

放送情報

今夜、世界からこの恋が消えても
放送日時:2023年6月3日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ

放送日時:2023年6月4日(日)15:45~
チャンネル:WOWOWプライム

※放送スケジュールは変更になる場合がございます