広瀬すずと松坂桃李の新境地!「流浪の月」で表現した、傷を抱えながらも強く繋がっていく二人の心
2023.5.6(土)
昨年5月に公開された映画「流浪の月」。15年後に偶然の再会を遂げた、かつての誘拐犯と被害女児の運命の行く末を描いた人間ドラマで、その衝撃的な内容はもちろん、W主演を務めた広瀬すずと松坂桃李の演技は大きな話題を集めた。
第17回本屋大賞受賞作である凪良ゆうの同名ベストセラー小説を、「悪人」や「怒り」で知られる李相日監督が映画化。「パラサイト 半地下の家族」を手掛けた韓国映画界の名撮影監督ホン・ギョンピョが、繊細な物語を情緒たっぷりに映し出した。広瀬と松坂に加え、横浜流星や多部未華子ら豪華キャストたちが、李監督のもとで新境地に挑んだ。
帰れない事情を抱えた10歳の少女・更紗は、ある日、雨の降る公園で時間をつぶしていた。19歳の孤独な大学生・文は、彼女を黙って受け入れ家に招き入れる。居場所を見つけた幸せを噛みしめていた二人。しかし、文は誘拐犯として逮捕され、2ヶ月間の同居は突然の終わりを迎える。被害女児となった更紗は、15年後に文と偶然に再会。そして、それぞれの隣には現在の恋人がいた...。
李監督作品へは「怒り」に続き2度目の出演となった広瀬は、女児誘拐事件の被害者という烙印を押されて生きてきた更紗を演じた。両親と別れて伯母の家で厄介者扱いされながら育ち、10歳にして身の置き所がなった更紗。複雑な生い立ちと過去から控えめな性格になってしまった陰のある女性を、抑えた静かな演技で表現する。
恐怖を感じるほど一方的な愛で縛りつける恋人に、更紗が自らを顧みず強い怒りを向けるのは文の穏やかな幸せを守りたいから。「更紗は更紗だけのものだ」という文にもらった言葉で、彼女は自分らしさを取り戻していく。自分を認めることすら拒絶する文の手をとり、その悲しみごと包み込むが、揺るぎない心で献身的な純愛を注ぐ強さが美しい。
文という難役に挑んだ松坂。文は公園で雨に打たれる更紗に自身の傘を差し出し、孤独から救い出す。人に言えない心の闇を抱え、誘拐犯とされた後もひっそりと世界の片隅に生きている。伏し目がちな暗い瞳には諦めにも似た孤独が滲み、一拍置いてから話し出す木訥な口調にも文らしい生真面目な繊細さが漂っていた。
更紗を見つめる表情が、自分と似た心の傷を抱えた魂への共鳴のようだ。人との繋がりを恐れながらも、特別な存在である更紗には自身を曝け出す姿が痛々しく切ない。深い絶望を秘めた青年の心の機微を松坂が丁寧に演じきった。
李監督から与えられた難役にも真摯に向き合い、静かな演技で魅了させた広瀬と松坂。カーテンを揺らす風、湖面に広がる波紋、明るい空に浮かぶ月...二人の周りにはどこか寂しさを感じるエモーショナルな空気が漂う。傷を抱えながらも強く繋がっていく二人の心を、静謐な映像が美しく映し出していた。
文=中川菜都美
-
松本若菜が確かな演技力で物語の人間模様を彩る!映画「大綱引の恋」で放ったナチュラルな存在感
提供元:HOMINIS11/17(日) -
スン・リー(孫儷)のカリスマ性と繊細な表現!「月に咲く花の如く」以前に出演した歴史大作「ミーユエ 王朝を照らす月」
提供元:HOMINIS11/17(日) -
永作博美が凛とした姿でキャリアの警部役を熱演!犯人役に内藤剛志らも共演の「交渉人」
提供元:HOMINIS11/16(土) -
簡秀吉と杢代和人が「仮面ライダーギーツ」の続編で表現した役の時間経過に注目
提供元:HOMINIS11/16(土) -
織田裕二が自分の信念を貫く主人公を熱く演じる!「連続ドラマW 株価暴落」
提供元:HOMINIS11/15(金)