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名取裕子&麻生祐未の痛快なバディっぷりが全開「マルホの女 保険犯罪調査員」【無料放送】

2023.3.24(金)

2014年4月に、テレビ東京開局50周年特別企画作品として放送された連続ドラマ「マルホの女 保険犯罪調査員」。保険調査会社アジャストリサーチを舞台に、個人資産38億円を所有する超リッチ・柏木奈津子(名取裕子)と貧困家庭に育ったドケチ・遠野亜希(麻生祐未)という凸凹コンビの活躍を描いていく。

名取演じる奈津子は、ハーバード大学物理学部卒という超エリート。ハーバードといえば、世界の大学ランキングでは常にトップ5にランクされる世界の最高学府である。東京大学よりもはるかに格上で、日本のドラマでは東大卒の主人公は「相棒」の杉下右京など珍しくないが、さすがにハーバード卒という設定は珍しい。奈津子の前職はアメリカ国立理化学研究所の研究員。両親から分与された大金を資産運用によって38億円に増やした才覚の持ち主だ。性格は異常なまでの潔癖症で、自前の刷毛を常に持ち歩き、座る場所や机を掃除しなければ気が済まない。昏睡状態に陥った親友・早映子(高橋ひとみ)の疑いを晴らすために調査員になったという設定だ。

一方の麻生演じる亜希は、調査員として10年のキャリアを積んだベテラン。かつてレディース暴走族「ピンクパパイヤ」の初代総長だった過去を持つ。抵当に入った自宅を取り戻すために、8800万円貯めることを目標に、過剰なまでの倹約生活を送っている。

キャッチフレーズは「ダマそうなんて、出来ると思って?」「犯罪なら、一円たりとも渡さない!」というもの。保険の専門知識を武器として、さらには警察も顔負けの情報収集力を駆使して、彼女たちが一筋縄ではいかない数々の保険犯罪を調査し、真実を導き出していく痛快なサスペンスドラマだ。

前後編になっている第1話では、建設会社が主宰するチャリティ・コンサートに出かけた奈津子(名取)と亜希(麻生)がその舞台挨拶に登壇した社長・桜川(升毅)の焼死事件に遭遇。警察と消防は漏電による出火が原因の事故死と判断する。ホールが支払う賠償金は莫大な金額になると思われ、アジャストリサーチが調査をすることになる。奈津子と亜希はさっそくホールの支配人・樋口(長谷川初範)に会いに行く...。

冒頭からショッキングな場面に引き込まれて、スピーディーな展開だが、本作の魅力は、やはり主人公2人の凸凹バディぶりだろう。名取、麻生ともに芸達者で相性も抜群だし、セリフ回しも小気味良い。人物造形がやや極端すぎる気もするが、2人の好演によって違和感もなく、丁度良いコミカルさで画面に惹きつけられる。ただ、政財界の闇など裏の世界を描き出すあたり、ストーリーもなかなか骨太な描写で毎回見ごたえ十分だ。

保険調査員が主役のドラマといえば、同じテレビ東京の「保険調査員・蒲田吟子」というドラマが2001年に放送され、人気を博した。主演は泉ピン子で、相棒が元刑事の村田雄浩が共演。同作がストーリーで見せるいわば正統派のサスペンスだったのに対し、本作は主演の2人の異色なキャラが際立つ点で異彩を放っている。セレブ女性らしく、名取は毎回派手な衣装を着こなしていたが、サラッと着こなして絵になっている点もなかなかすごい。並みの女優が着たらコントっぽくなってしまうところだが、名取だとリアリティがあるのだ。

麻生にしても、元レディース総長という役どころで、勝ち気でキップのいいセリフ回しがなんとも痛快。セリフ量も相当多いのだが、毎回見事に演じていて力量を感じさせる。共演には、調査会社社長役の宇梶剛士をはじめ、近藤芳正、LiLiCo、眞島秀和、佐野史郎らが顔をそろえている。

もともと女性同士のバディものドラマは日本では貴重であり、サスペンス作品となるとさらに珍しい。そんな意味でも希少価値のある作品「マルホの女 保険犯罪調査員」が、チャンネル銀河でオンエアされる。決して知名度の高い作品とは言えないが、見応え十分の秀作であることは間違いない。未見の人にもこの機会にぜひ楽しんでほしい。

文=渡辺敏樹

放送情報

マルホの女 保険犯罪調査員
放送日時:2023年4月2日(日)11:00~【無料放送】
※10話連続、途中インフォメーション番組の放送あり

チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合があります