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坂本真綾、黒執事・シエルを演じる上で「ふがいなさ」を感じることもあった

2025.4.26(土)

アニメ『黒執事』で坂本真綾が演じるシエル・ファントムハイヴ
アニメ『黒執事』で坂本真綾が演じるシエル・ファントムハイヴ

枢やなによる漫画『黒執事』(掲載 月刊「Gファンタジー」スクウェア・エニックス刊)を原作としたアニメ新シリーズ『黒執事 -緑の魔女編-』が、2025年4月5日より放送開始となり、話題を呼んでいる。

今回は2008年よりアニメ『黒執事』でシエル・ファントムハイヴを演じている坂本真綾にインタビュー。人気キャラクター・シエルを演じる上での心境の変化に迫った。

――いよいよ『緑の魔女編』がスタートしますね(取材時は放送前)

「1つ前の『寄宿学校編』が始動するときは、約7年ぶりに放送されるということで"始まる"ことへの驚きがすごくありました。ただ、今回に関しては『寄宿学校編』から時間があかず、『緑の魔女編』をやるということが決まったので、久しぶりにシエルを演じる緊張感やどんな風になるのかなという気持ちはあまりなく。(『寄宿学校編』で)今の私たちの空気感を確認した上で、また『黒執事』ができるというのは素直に嬉しくて、楽しみだなと思いました。視聴者の方も、ガラッと変わった2つのストーリーを楽しめるんじゃないかなと思います」

――前回の『寄宿学校編』でのシエルは、今までと少し雰囲気が異なる印象を受けました

「『寄宿学校編』のときは、かわいい要素が多かったというか、爽やかだったなと。一方、今作は、改めて『黒執事』らしい空気感。少しダークな要素があったり、シエルのシリアスな内面の葛藤みたいなものがよく描かれているお話なので、改めて『黒執事』らしさ、シエルらしさみたいなものを再確認できるような仕上がりにしたいなと思いましたね」

――なるほど

「今回は似た立場だけど考えの違うサリヴァンに、アドバイスというか、叱咤激励をする場面があったりするので、そういうところにシエルのたくましさとか、覚悟を感じました。自分と同じ境遇の人に対して感情移入して、熱くなるところからシエルの情の深さみたいなものも見えましたね」

『黒執事 -緑の魔女編-』
『黒執事 -緑の魔女編-』

――改めて再確認した"シエルらしさ"についても教えてください

「キリッとしていて、使用人たちの前でも割とクールでドライなところが基本的にはあるのですが、今回はそこに加えて、少し弱気な部分を見せる瞬間があったり...1つのお話の中にいろんなシエルが出てくるなと感じています。単色で表現できる人物ではなくて、いろんな色の面を持っていて、それらが全部混ざったときに現れる独特の輝きがシエルらしさなんじゃないかな。そういう多面的な部分を1つ1つ感じながら演じることができたら、見ている人にもシエルらしさが伝わるのかなと思ってやっていました」

――シエルという役を演じ始めた当時は、どんな心境でしたか?

「どんな役をやるときにもそうなのですが、原作がある作品の場合は、それを読んでいて、聞こえてくるしゃべり方や声があると思うんです。当然それは人によって異なるものですけど、それを私なりに表現していくことは心がけています。放送開始当時から、シエルが好きだと言ってくださる方がいっぱいいるのはわかっているので、今その当時のことを振り返ると反省する点もあるというか。自分の中に聞こえてくるシエルの声と、自分から出てくる声が離れている感じがあったのも事実です。オーディションで選んでいただいたんだから、自信を持ってやればよかったんですけどね。"もっとこうしたいのに自分のスキルが足りない"っていう、ふがいなさを感じていました」

――そうだったんですね。今はどうでしょう?

「その後、いろんな役と出会って経験を積んできましたし、年齢も重ねたので、そのすべての経験をシエルに活かすことができていて、自分の中で思い描くシエル像に少し近づけたという感覚があります。そう考えると、やっぱり長くやって来てよかったなと思いますし、また再会できたこと、もう一度表現する機会をいただけて本当によかったなと思っています。時を経ても同じ役にまたチャレンジできる声優という職業はすごく特殊だし、せっかくチャレンジできるのなら、楽しもうと思いました」

――『緑の魔女編』での小野さんとのタッグはいかがでしたか?

「『寄宿学校編』の時は、意外とセバスチャンとよりも学生たちとの会話の方が多かった印象です。今回は、主従関係がはっきりと描かれている場面が多く『あーこれこれ!』とお互いにお互いのセリフを聞きながら思っていた部分が多くありました」

――『黒執事』のアニメが始まってから15年以上、小野さんとの関係性や印象に変化はありますか?

「小野さん自身は全然変わらない方だなと思っています。昔から、誰とでも壁を作らず、ニュートラルに、ニコニコとコミュニケーションをとっている印象があります。逆に私は当時20代中盤ぐらいで、ほとんど経験のない少年役をやることに対するプレッシャーとかを感じていて、あんまり心を開けていなかった気がします。小野さんが隣にいても、自分から話しかけることはなかったですし、セリフ以外にあんまりお話しした覚えがないぐらい、無口でした。でも、今となっては、私にとっては親戚ぐらいの近さで接することができるようになりました。小野さんがいれば安心しますし、声が持っているカリスマ性みたいなものがより深まっていると思います。年とともに貫禄も増していらっしゃって、とても素敵だなと思いますし、尊敬しているお友だちの1人です」

――ありがとうございます。最後に、今回の『緑の魔女編』から黒執事デビューをしたいという方に向けてメッセージをお願いします

「気になるものの、なんとなくタイミングを逃してこれまで見る機会がなかったという人もいるかもしれません。でも、『黒執事』は、ワンエピソードずつ、『緑の魔女編』なら『緑の魔女編』だけで完結して見ることができるストーリーになっているので、全然どこから入っても大丈夫です!とりあえずセバスチャンが悪魔なんですということだけを前情報として入れておいて『もう少し前のエピソードも知りたい!』となったら、ぜひ遡って楽しんでみてください」

ヴォルフラム役・小林親弘へのインタビューはこちら

取材・文=於ありさ

作品情報

アニメ『黒執事 -緑の魔女編-』
毎週(土) 23:40〜TOKYO MXほかにて放送中!