高石あかり、『ゴーストキラー』で挑んだ演技の限界と向き合う覚悟「自分の中でしか生まれない"何か"があった」
2025.4.11(金)

「大変だったけど、楽しかったです」――。そう語るのは、映画『ゴーストキラー』で単独初主演を務めた高石あかり(※「高」は正しくは「はしご高」)だ。本作は、一人の大学生・松岡ふみかの身体に、謎の殺し屋・工藤の霊が宿るという異色のホラーアクション。
ごく普通の大学生・ふみかと、体を共有する伝説の殺し屋・工藤。相反する二つの人格が過激なアクションと繊細な芝居の中で交錯する。高石は、その圧倒的な集中力と表現力で、静と動、二つの顔を見事に演じ分けている。初の単独主演となる本作で、彼女は何を感じ、どのように役と向き合ったのか。その言葉から、女優としての新たなフェーズに突入した高石の葛藤や覚悟に迫った。
――初の単独主演として『ゴーストキラー』に出演すると聞いたときのお気持ちは?
「まず、プロデューサーさんが、私が以前からすごくお世話になっていた方だったので、『また一緒に作品が作れるんだ!』という嬉しさが大きかったです。それに加えて、単独主演という形での参加だと聞いて、正直すごくワクワクしました。園村(健介)監督とはこれまでアクション監督としてご一緒してきたのですが、映画監督として関わるのは初めてだったので、その関係性がどう変化していくのかも楽しみでした」
――信頼できるスタッフと一緒に挑める現場だったんですね
「そうですね。いつも一緒に戦ってきたファミリーのようなチームと、初めての単独主演作を作れるというのは、本当に心強かったです」

――完成した映像をご覧になっていかがでしたか?
「正直、試写の2~3日前くらいからすごく不安で...ちょっと震えたりしてたんです(笑)。主演なのに、こんなに怖がっていてどうするんだろうって自分でも思うくらい。作品としてどうなってるのか、観客として受け止められるのか、いろんな気持ちが渦巻いて。でも、いざ映画が始まった瞬間に、全部どうでもよくなったんです。『なんだこの面白い作品は!』って、すぐに夢中になって。1人の観客として素直に楽しめている自分がいたんですよね。それが何より嬉しかったです。終わった後、監督が『自信があります』と言っていたんですけど、その言葉の意味が本当にわかりました。この作品は誰かひとりのための映画ではなくて、全員が全力でエネルギーを注いだからこそ出来上がったものだなって。そう思えたことが、心からの救いになりました」
――幽霊に取り憑かれるという設定の中で、松岡ふみかと工藤という、性格も立場も全く異なる2つの人格を演じるという難しい役柄でした。演じてみていかがでしたか?
「...もう、難しかったです(笑)。ほんとに大変なことだらけでした。でも、それ以上にやりがいや楽しさが勝っていた感覚もあって。台本を読んだときに『絶対にやりたい』と強く思ったんですけど、アクション稽古が始まったとたんに、『これ......できるのかな』って不安になって。たとえば、工藤として誰かを殴る、その2秒後にはふみかに戻って、またすぐ工藤にスイッチする。アクションしながら感情の切り替えを何度も重ねていくって、本当に脳がフル回転で。今までのどんな役よりも、役と向き合う密度が濃かったと思います」

――自分の中に、ふたつの人格を共存させながら演じるような感覚ですね
「そうですね。たとえば、ふみかとして発した言葉に自分が感情的に余韻を感じてしまうと、その後の工藤への切り替えにタイムラグが生まれてしまうんです。だから、ふみかとしての感情を一瞬で"消す"必要があって。現場に行くまでは台本でずっと練って、でも最終的には感覚でやるしかない。考え抜いて、あとは熱量とパッションで乗り切る。それがこの作品の挑戦でした」
――三元雅芸さんとの演技の掛け合いはどういうふうに作っていったんでしょうか?
「実は、三元さんが撮影のときに現場にずっといてくださって。自分の出番が終わっても、私の撮影を見守ってくれていたんです。それって指示されたわけじゃなくて、三元さんの優しさなんですよね。本当にありがたかったです。工藤って、私が演じているけど、実際は三元さんの"魂"が宿っているような存在なんです。だから、完全に真似をするんじゃなくて、でも声や佇まいから感じるニュアンスを大切にして、どこまで寄せていけるかを常に探っていました。工藤の魅力って、三元さんのまっすぐさや純粋さから生まれていると思うので、その空気感に寄り添うことを大事にしていました」

――園村監督とはどのような話し合いがありましたか?
「正直、もっと距離感が変わるのかなと思っていたんですけど、びっくりするくらい何も変わらなくて(笑)。アクションのときの『もう1回、もう1回』という淡々とした追い込み方も変わらないし、芝居の部分ではすごく任せていただきました。だからこそ、自分の中でふみかというキャラクターをどう作るか、すごく深く話し合うことができて。ある時からは、私がふみかとして持っていくものを信じてくれているのを感じて、それが本当にありがたかったです。『ちゃんと任されてるんだ』と思えた瞬間が、私の中でプレッシャーではなく、背中を押してくれるエネルギーになりました」
――本作にはさまざまなアクションシーンがありますが、特に印象に残っている場面を教えてください
「アクションでいうと、やっぱりバーでの戦いのシーンです。おそらく一番長いアクションシーンだったと思うんですけど、私にとっても、あそこが最も濃かったです。あのシーンでは、ふみかと工藤を交互に演じながら戦うという構成になっていて、自分の中で3つくらいの要素を一度に連動させながら動かなきゃいけなかったんです。だから単純に戦うだけじゃなくて、人格をスイッチしながらアクションを繰り返すという意味で、かなり難しかったです。でもそれだけに、記憶にも濃く残っていて、挑戦したなって心から思えるシーンでした」

――アクションとはまた違った意味で印象的だった芝居のシーンはありますか?
「後半に、ふみかの気持ちが一気に爆発するシーンがあるんです。個人的には、あの場面がすごく楽しかったです。何かが限界を超えて、ふみかの心がぶちまけられる瞬間というか。現場では『自分をコントロールしないでやってみよう』と決めて、そのまま感情に身を委ねて演じました。そしたらもう、思ってもいなかった言葉が口からどんどん出てきたんです。セリフもどこかでぐちゃぐちゃになっていて、覚えていたこととは全然違う言葉が湧き出てきて。結果的にアドリブのようなセリフがいっぱい混ざってたと思います。でも、それがすごく気持ちよかったんですよね。芝居って本来、こういう瞬間があるべきなのかもしれないって感じられるぐらい、開放された時間でした」
――あのシーンは圧巻でした。アドリブは一発でOKだったんですか?
「実は、最初に撮ったあと、何か機材トラブルがあって『もう一回やる?』みたいな空気になったんです。でも、現場のみなさんがすごく優しくて、『今のでよかったんじゃないか』『どうにかできないかな』という小さな会議が始まって(笑)。その気遣いがすごく嬉しかったです。でも最終的にはもう一回やることになって。ありがたいことに、2回目もまた感情がちゃんと爆発してくれて、ちゃんと撮れました。あの空気感、スタッフさんとの信頼関係があったからこその時間だったなと思います」
――そのシーンを実際にご覧になってどう感じましたか?
「...あっという間だなと(笑)。自分の中では、ずっとエネルギーを振り絞って、心も身体も絞りきった感覚だったので、きっと長尺で映ってるんだろうなと勝手に思っていたんです。でも、完成した映像を観たら、意外と短くて。でもそれって悪い意味じゃなくて、『芝居ってこうやって濃密なものが、あっさり映像になるんだ』という、新しい発見でもありました。逆に言えば、その短い尺の中に濃度が詰まってるってことなんですよね。それに気づいたとき、やってよかったなと心から思えました」

――アクション映画の主演として、これまでのキャリアが結実した作品でもあると思います。ご自身にとってアクション映画とはどんな存在でしょうか?
「すごく身近にあるものなのに、すごく遠いもの...そんな不思議な存在です。スタントマンやスタントウーマンの方々と一緒にいる機会が多かったからこそ、自分の中でアクションに対するリスペクトがどんどん大きくなっていきました。大きな声で『自信があります』って言えたらかっこいいんですけど、実際はまだまだです。でも、アクションを通してもらえるエネルギーって本当に大きくて。動いているときの泥臭さや美しさって、観ている人の心にも響くんですよね。だから、またアクション映画に携われるなら、全力でやりたいです」
――改めて『ゴーストキラー』で得たものは何でしょうか?
「この作品は、挑戦の連続でした。でもその分、自分の中からしか生まれない感情や表現を、信じられるようになった気がします。どれだけ難しくても、自分の中でしか生まれない"何か"がある。その実感を、この作品が教えてくれました。私にとって『ゴーストキラー』は、自分の中の"限界"と"希望"を同時に感じた作品です。見てくださるみなさんにも、そんな強さと葛藤のエネルギーが届いていたら嬉しいです」
――高石さんにとっても大切な作品になっていきそうですね
「大変なことはたくさんありました。でも、それ以上に『やれてよかった』『この現場にいられてよかった』という思いのほうが強いです。アクションでいえば、工藤とふみかの人格を行き来する複雑さ。芝居でいえば、コントロールを手放すことの怖さ。でも全部ひっくるめて、やるしかないと毎日自分に言い聞かせていました。その結果として、やり切ったと思えている今が、すごく心地いいです。この映画を通じて、自分の中でまたひとつ芝居の扉が開いた気がします。観てくださった方にも、その熱が伝わっていたら嬉しいです」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
映画情報
映画『ゴーストキラー』
2025年4月11日(金) 全国公開
公式サイト:https://ghost-killer.com/
公式X:https://x.com/gk__movie
-
ワン・イーボー(王一博)の心からの笑顔も...「死と隣り合わせた瞬間」にも遭遇した極限状態で覗かせる貴重な素顔に反響の声
提供元:HOMINIS4/12(土) -
高石あかり、『ゴーストキラー』で挑んだ演技の限界と向き合う覚悟「自分の中でしか生まれない"何か"があった」
提供元:HOMINIS4/11(金) -
【本島純政×上村謙信】2人が約束した、クランクアップ後に一緒に行きたい場所とは?〈ふたりのこと。〉
提供元:HOMINIS11/18(月) -
【金子隼也×野村康太】遊びに誘うのが難しい?!お互いへのプレゼントやファッション、呼び名など2人の関係を深ぼる!〈ふたりのこと。〉
提供元:HOMINIS11/7(木) -
菅井友香の"推し"は今の季節が旬の○○!【#推シゴトーク】
提供元:HOMINIS3/22(土)