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福西勝也×加藤渉×河西健吾×新祐樹が語る"作品愛" 『怪獣8号』の魅力を見つめ直す総集編

2025.4.8(火)

『怪獣8号』
『怪獣8号』

怪獣が日常的に人々を脅かす世界で、防衛隊員として戦う主人公・日比野カフカの姿を描いた『怪獣8号』は、2024年にアニメ第1期が放送され、大きな話題を呼んだ。そして2025年3月28日より、アニメ『怪獣8号』第1期総集編/同時上映「保科の休日」が3週間限定で上映されている。

物語の中心となるカフカを演じるのは福西勝也。市川レノ役に加藤渉、保科宗四郎役に河西健吾、そして古橋伊春役を新祐樹が担当。第1期を通してキャラクターと真摯に向き合ってきた4人が、総集編の見どころやキャラクターへの思い、そして『怪獣8号』という作品が持つ力について語った。

――まず第1期が終わって、あらためて感じた『怪獣8号』の魅力を教えてください

「日本国内はもちろんですが、海外人気の高さもすごく感じました。特に福西くんが海外のイベントに行っているのを見て、羨ましいなと(笑)。作品としても、男の子も女の子も楽しめて、世代や性別を問わず愛されている印象がありますし、みんなに愛される作品になっているのが本当に嬉しいです」

加藤「僕は自分のことをまだ無名だなと思っていたんですけど、この作品に出たことで名前を知っていただけた感覚がありますね。会う人に『怪獣8号に出てる方なんですね』と言っていただけて、自己紹介もしやすくなりました。あと、親や美容室の方など、普段アニメをあまり観ない方でも『怪獣8号』は話題にしてくれて。美容室で主題歌を流してくれたり、サントラをかけてくれたり。生活圏の中にも自然と入り込んでいて、本当にすごいと思いました」

福西「私は『怪獣8号』で海外のイベントに登壇して作品の魅力について語ったときに、言語が違っても、感情や熱量って表情や声のトーンだけで伝わるんだなと感じました。日本では当然言語が通じるので伝えやすいのですが、海外だとそれができないぶん不安もあったんです。でも、ステージに立ったときにその不安が吹き飛ぶくらい、作品を好きな人たちの熱を感じて。言語なんて関係ないという、作品の力の大きさを実感しました」

福西勝也が演じた日比野カフカ『怪獣8号』第1期総集編
福西勝也が演じた日比野カフカ『怪獣8号』第1期総集編

河西「『怪獣8号』って、他のアニメよりも万人受けする作品だと思っています。コアな層だけでなく、アニメをあまり観ない人にも届いているという印象がありますね。海外の方からの反応もすごくて、『怪獣8号が好き』と言ってくれるのも嬉しいですし、制作陣が意識してワールドワイドに作っているのが、ちゃんと世界に届いているなと。あと、普段アニメを観ない友人が『怪獣8号は観たよ』って言ってくれたり、親子でイベントに来てくれたり。小さい子も怪獣のビジュアルに惹かれてファンになってくれるんですよね。SNSでもお子さんが描いた怪獣の絵が投稿されたりしていて、そういうキャッチーな魅力があるのも作品のすごさだと思います」

保科宗四郎(CV.河西健吾)『怪獣8号』「保科の休日」より
保科宗四郎(CV.河西健吾)『怪獣8号』「保科の休日」より

――硬派な作品に見えて、所々コミカルに描かれていますよね。そういった部分も海外ではウケているのでしょうか?

福西「試みも先進的というか、他の作品にないことを色々やってたりするので、そこも刺さってるんじゃないかなと思います。...乳首からおしっこが出るなんてないじゃないですか(笑)」

加藤「ユニークだよね(笑)」

福西「何度見ても新しいなって思いますね」

――でも、『怪獣8号』は本当にアニメファン以外の層にも刺さった作品だと思います

福西「そうなんですよ。マジでそうなんすよ」

加藤「ファンの方々から『親に勧めた』とか『親と一緒に観た』とか、あるいは『実家に帰省した際に家族みんなで楽しんだ』といった声をいただきました。作品の輪が広がっているなと感じますね」

福西「親子でイベントに来てくださる方もいて、なんか嬉しいなって」

加藤渉が演じた市川レノ 『怪獣8号』「保科の休日」より
加藤渉が演じた市川レノ 『怪獣8号』「保科の休日」より

――お子さんが興味を持つきっかけに特徴的な怪獣のフォルムもあるのかもしれないですね

福西「実は、音楽で関わってくださっているスタッフさんのお子さんが『怪獣8号』の大ファンらしくて、怪獣の絵をたくさん描いてくれるんです。この前、その絵を見せていただいたんですが、本当に嬉しくて。ありがとうっていつか直接伝えられたらいいなと思いました。きっと怪獣たちのフォルムがすごくキャッチーなんでしょうね。色とりどりの怪獣を描いてくれるお子さんも多くて、SNSでもそういう投稿をよく見かけます」

――第1期を振り返って、特に印象に残っているシーンはありますか?

「総集編の内容はカフカを中心に据えた構成になっているんですが、それ以外にも、頑張っている隊員たちや魅力的なキャラクターがたくさん登場するんです。中でも、レノと伊春のシーンは個人的にもすごく良いシーンだと自負していて、そういった部分にもぜひ注目してもらえたら嬉しいです。だからこそ、総集編を観て興味を持った方には、ぜひアニメ第1期にも手を伸ばしてもらいたいなと思っています」

福西「私は、総集編でオリジナル構成になっている最初と最後の部分がとにかく大好きで。冒頭はカフカが思い描くミナとの未来のようなシーンから始まるんです。『え、ここから始めるの!?』と驚いていると、『怪獣8号』のタイトルがバーンと出てきて...あの瞬間に『ありがとうございます!!』って思いました(笑)。そして終わりもまた素晴らしくて。重厚なBGMにのせて『ここでエンディング?』っていう絶妙なタイミングで、スッとエンドロールに入るんですよ。そこからさらにエピローグ的なシーンがあって、カフカの想いにまた触れられる。本編とは違ったオリジナルの流れが、私はもう、大大大好きです!」

加藤「10話のラストで、カフカがついに人前で変身するシーンがすごく印象に残っています。『ダメだ、先輩!』とレノが止めようとしますが、最終的にはカフカが変身してしまって、『先輩、自分が何をやってるのか分かってるんですか!』って叫ぶ場面があって。あのシーンは、ちょうど自分の収録時の状態がレノの感情とリンクしていて、自分でもすごく入り込めた感覚がありました。正直、音としての座りの良さはあまりなかったかもしれないけど、自分の演技として納得できた瞬間でした」

福西「実はあのとき、私も渉くん同様ギリギリの状態で収録していて(笑)。でもそれが逆にリンクしていて、生々しい芝居になったというか。まさに満身創痍の状態で向き合ったシーンとして、今でもすごく印象に残っています」

河西「僕が好きなのは、いわゆる"お風呂回"ですね(笑)。男性キャラクターたちの筋肉美が惜しげもなく披露されていて、露出多めな回なんですけど、キコルの『男子ってバカね』みたいな空気感も含めて、すごくいいシーンだったと思います。そういうコミカルな部分も、この作品の魅力のひとつだと改めて感じました」

河西健吾が演じた保科宗四郎『怪獣8号』第1期総集編より
河西健吾が演じた保科宗四郎『怪獣8号』第1期総集編より
四ノ宮キコル(CV.ファイルーズあい)『怪獣8号』第1期総集編より
四ノ宮キコル(CV.ファイルーズあい)『怪獣8号』第1期総集編より
『怪獣8号』第1期総集編
『怪獣8号』第1期総集編

――第1期を通して、ご自身が演じたキャラクターの好きなところを教えてください

「伊春の好きなところは人間臭さですね。普段は明るくてムードメーカーなんですけど、実はすごく繊細で、自分の中にコンプレックスを抱えていたりもするんです。彼は討伐高専でも成績優秀で、頭も良いはずなのに、防衛隊に入ってからは思うようにいかなくて焦ったり、他の隊員と自分を比べたり。そういう優等生ゆえの苦悩を抱えている姿が、すごくリアルで共感できました。監督からも『明るい面だけでなく、伊春の弱さや葛藤も丁寧に見せてほしい』と言われて、演じていて難しいながらもやりがいを感じましたね」

加藤「僕は原作をオーディションの前から読んでいて、レノというキャラクターには強い思い入れがあります。演じていく中で気づいたのは、自分とレノの性格が似ている部分が結構あるなということ。ちょっと危なっかしいところとか、どこか憎めないけど心配になっちゃう感じとか(笑)。だからこそ、レノを通して自分を好きになるためのステップを踏んでいるような感覚があります。実は今、第2期の収録も進んでいて、あるシーンで自分自身とレノの感情がぴったり重なった瞬間がありました。内容はまだ言えませんが、とても大きな気づきのある経験で、レノを好きになることで、自分自身も好きになれるみたいな、そんな時間を過ごせた気がします」

福西「カフカは作品の中で一番好きなキャラクターだったので、演じることができて本当に幸せでした。カフカってすごく思慮深くて、懐の広い人間だと思うんです。周囲を気遣えるし、経験から学び、そこからちゃんと分析もできる。でも一方で、誰かのためなら考える前に体が動いちゃうような思い切りの良さも持っているんです。私自身は慎重派で石橋を叩いて渡るタイプなので、カフカのように思いやりと勇気をバランスよく持てる姿勢に、純粋に憧れます。理想の大人像に近いというか、自分もこうなりたいと思える存在ですね」

日比野カフカ(CV.福西勝也)『怪獣8号』「保科の休日」より
日比野カフカ(CV.福西勝也)『怪獣8号』「保科の休日」より

河西「保科は、まさに"理想の上司像"ですね。彼は過去に苦労してきたからこそ、人を見る目がある。例えば、カフカのように数値的には評価されないような人間にも、『この人には何かある』と言って手を差し伸べることができる。自分がかつてミナに見出されたように、今度は自分が他者を信じて引き上げようとする。そういう姿に、僕自身も学ぶことが多かったです。演じていて、すごく人間の器を感じるキャラクターでした」

――最後に、総集編として劇場で公開されている『怪獣8号』について、あらためてファンの方やこれから観る方へのメッセージをお願いします

「今回はカフカにフォーカスを当てた構成になっているので、彼の心の動きに寄り添って作品を楽しんでいただけると思います。総集編としての魅力は、やっぱり"体験"として楽しめるところですね。劇場のスクリーンと音響で観ると、本当にアトラクションのような感覚がある。『怪獣8号』の世界に没入しながら、推しキャラや新たなお気に入りを見つけてもらえたら嬉しいです」

加藤「例えが少し雑かもしれないんですが...お風呂でいう"サウナと水風呂"みたいな(笑)。総集編で熱くなった心が、最後の「保科の休日」でスーッと癒される。そんなリズムがとても心地よい作品だと思います。気軽に、休日や空いた時間にリラックスして観るという気持ちで劇場に来ていただけたら嬉しいです」

市川レノ(CV.加藤渉) 『怪獣8号』第1期総集編より
市川レノ(CV.加藤渉) 『怪獣8号』第1期総集編より

福西「初めて観るという方も、総集編から入って大丈夫です! 劇場のソファに身を委ねて、何も考えずにどっぷり浸かってください(笑)。アニメ本編を観た方にとっては、劇場ならではの音響が大きな魅力だと思います。5.1chのサラウンドで、声の細かなニュアンスや息遣いまで聞こえるようになっていて、キャストの細やかな芝居をより深く感じてもらえるはず。すでに観た人も、新しく観る人も、どちらにも響く作品になっていると思います」

河西「"怪獣×大迫力アクション"という作品だけに、やっぱり音響の進化を感じてもらいたいですね。アニメ第1期でも音にはすごくこだわっていたんですが、それを劇場の大スクリーンで、5.1chで味わえるというのは、本当に贅沢だと思います。そして、これから始まる第2期も、また何らかの形で劇場で観られるような展開があればいいなと願っています。アニメにまだ触れていない方も、友達に誘われて観に来た方も、ぜひこの作品をきっかけに"推しキャラ"を見つけてくれたら嬉しいです。グッズもたくさんあるので、気になるものがあればぜひ手に取ってみてくださいね!」

取材・文=川崎龍也 

作品情報

アニメ『怪獣8号』第1期総集編/同時上映「保科の休日」
公開中