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EXO・カイと心を通わせる倉科カナの抑えた演技が光った「連続ドラマW春が来た」

2023.3.16(木)

向田邦子の傑作短編を現代リメイクした「連続ドラマW 春が来た」(2018年)が3月26日(日)にWOWOWプラスで放送される。

(C)2018 WOWOW INC.

本作は、切ない恋と崩壊しかかった家族の再生を描くヒューマンドラマ。地味で冴えない 31歳の独身女性・岸川直子は、うだつの上がらない父、くたびれた部屋着で過ごす母、生意気で可愛げのない女子高生の妹の4人暮らし。平凡で荒んだ生活を送る家族の前に、1人の韓国人カメラマンが現われる。その男の存在により、少しずつそれぞれが抱える秘密が明らかになっていく。家族の再生を描いた向田の遺作ともいうべき短編を、大胆に現代風にアレンジした。

主演に抜擢されたのは、当時からアジアトップグループとして絶大な人気を誇っていたEXOのカイ。今年1月に開催した日本初のソロライブツアー「KAI Japan Special Live 2023」も大盛況のうちに幕を閉じたカイが、本作で日本のドラマに初出演かつ初主演を果たしている。カイ演じるイ・ジウォンは、韓国から来たカメラマン。ステージで見せる華やかでカリスマ性溢れる雰囲気とはまた異なり、ぎこちない日本語も愛らしい。穏やかな優しい笑顔が春の風のようだ。直子と出会い距離を縮めていく中で、岸川家を変えていく。物腰も柔らかく優しいが、幼い頃に父を亡くしており、母とも複雑な問題を抱えているという難しい役どころ。その微笑みの裏に隠した悲しみや苦しみを、懸命に演じている。カイの誠実な人柄が重なって見えた。

(C)2018 WOWOW INC.

ジウォンとの心を通わせていくヒロイン・直子は倉科カナが務めた。よしながふみの大ヒット漫画を原作とするドラマ10「大奥」<5代・徳川綱吉×右衛門佐編>や、黒澤明監督の傑作映画の舞台化した「蜘蛛巣城」と、今年も話題作への出演が相次ぐ。菊池風磨とW主演を務めるドラマ「隣の男はよく食べる」も4月12日(水)から放送開始する。作品ごとに雰囲気を変えながら、コミカルにシリアスに様々な役をしなやかに演じ分ける倉科。本作では、デパートの下着売り場に勤める地味な女性を演じた。娘として姉として家族を大切に想う優しさと、ジウォンへの恋心が控えめながらも確かに伝わってくる。リアリティを感じさせる抑えた演技が光った。恋をして少しずつ輝いていく瞳が眩しく、切ない表情に胸を締め付けられる。心の痛みを抱え強く生きていくヒロインを好演した。

(C)2018 WOWOW INC.

カイと倉科のほか、父・周次役に佐野史郎、母・須江役に高畑淳子と名優も脇を固める。悩みや葛藤を秘めながらそれぞれの人生を懸命に生きる男女の姿と家族の再生が、細やかに描き出された。

文=中川菜都美

放送情報

連続ドラマW 春が来た
放送日時:3月26日(日)16:45~
放送チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合があります